武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 新たな生活空間の構築(85)


《山荘で保護した猫のその後》

 2月に山荘に現れて保護することになった猫は、3ヶ月して保護期間が終わり、はれて山荘の住人の所有となった、飼い猫になったわけである。屋外では、野良猫サンちゃんが姿を消し、ミーちゃんとマルちゃんが食事にくるほかは、時折そのほかの猫が通り過ぎる程度。

 小さかったのでチーちゃんと名付けた保護猫は、家猫になって半年を経過した。その後の様子を記しておこう。私達は、山荘と現住所を行ったりきたりして二地域暮らしをしており移動手段は自家用車、移動のたびにチーちゃんも一緒にロングドライブをする。

 さいわいチーちゃんはドライブが好き、室内から車内への移動にキャリーケースに入れるけれど、自分からキャリーケースに入ることもあるほどで、ケースの中ではゴロゴロいっている。ケースの中では大変おとなしい。 走行中は伸び上がって幼児のように窓枠にしがみついて外の景色を見ている。飽きると空席にしてある助手席でうとうとしたり寝たりしている。最近では慣れて寝ている時間が長くなってきた。

 大人になって初めて猫と暮らすことになって、チーちゃんという猫の面白さに吃驚したり感心したりすることが多い。山荘にやってくる猫達をみているので猫の個体差がとても大きいことが分かっているから、どれが猫族の習性でどれがチーちゃんの個性なのか分からないけれど、それでもチーちゃんの行動はとても面白い。

 家猫になったチーちゃんは、何をしているかと言うと、ほとんどの時間寝ている。調べてみると一日14〜16時間寝ると言われているが、チーちゃんは20時間ほど寝ているような気がしている。夜行性なので夜中のことは分からないが、寝ている時間が一番長い。

 も一つ目立つのは、少しでも高いところにいって、窓から屋外を見つめていることが多い。我が家では、これを<チーちゃんのお勤め>と名付けて、野生の名残りの見張り行動として、できるだけ尊重し妨げたりしないで協力してやることにしている。山荘でも現住所でも、見張り場所が何箇所もあって、絶えず熱心に外界の変化を見張り続けているのである。(画像は、洗濯機の上から伸び上がって、北側を見張っているチーちゃん、気が済むと別の場所に移動して見張り行動が続く。)

 行動として面白いのは、見張り行動とも関係があるが、待ち伏せと助走なしのダッシュ、その瞬発力が素晴らしい。全身の筋肉を引き絞り弾けたバネのようになって飛び出してゆく時は、野生の一端を垣間見る思いにさせられる。いわゆる猫パンチも速い。人間の反射神経ではとてもかなわないほどの素晴らしい速さである。

 半年いっしょに暮らしてみて、猫は高齢者が飼うペットにふさわしいことが分かった。犬のように散歩に連れ歩く必要はなく、キャットフードと水を与えておけばよく、下の世話は猫トイレですべて済ませるので、合図があればトイレに流してやるだけ。飼い主のライフスタイル適応するのが上手なので、お互いほとんどストレスはないような気がしている。