武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

木登り事始 その6

樹上で手が届かない枝や実へのアクセス

 地上で歩き回っている時と違って、樹上では手を伸ばして届かなければそのままではどうすることもできない。自分の位置を何らかの方法で移動させるか、手の代わりになる道具を使うか、どちらかしかない。上下に移動して木に登るだけでも初めのころは結構楽しいのだが、やがて木の上ゆえの不自由さが分かってきて、新たな工夫が必要となる。


 私の場合は、強風で折れたコナラの枝を処理する時に、手が届かなくて困ったのが最初のケースだった。折れた枝のすぐそばまで辿り着いたけれどノコギリを伸ばしても届かず、どうしようも出来ず、何とか手が届く少し下の小枝を切って敗退した。リベンジは、カバーをつけたポールソーに紐をつけて引き上げ、ポールの長さを利用して何とか、大きな折れ枝を切り落とした。ポールソーの操作は危険と隣り合わせで苦労の連続だった。何とかもう少し横方向に自由に動けるようになりたいと思った。


 ツリークライミングの移動はロープにぶら下がった状態なので、ロープを樹上で外すことはありえない。移動したいところにもう一つのアンカーを設置して、少し降下してその場所に移動するという方法をとる。今いる所よりも高い所に登る場合も同じ、樹上で新しいアンカーを架設することが課題となった。

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上の画像は、ハーネスにセットするときのもの、下の画像はそれらをバラした状態、ウエイトは6オンス。


 原理的には地上での方法と同じ、ウエイトのついたラインを目標に向かって投げ、目標の枝にかかって垂れ下がった錘を棒の先に付けたフックに掛けて引き戻し、ラインにロープを結んで目標の枝にロープを掛けてもう一つのツリクラシステムを架設する。そのシステムに体重を移し、目標に接近。この樹上の作業をする時、両手を使うのでしっかりしたランヤードという確実なバックアップは必須。


 この時、樹上でのスローラインと錘の手繰り寄せをどうするか、嵩張るものや操作性の悪いものはトラブルの原因となるので困る、いいものがないか四方八方探して何とかみつかった。大工さんが使うチョークラインの道具と、電気工事の配線工事に使う釣竿のような道具が便利なことがわかった。<タジマ ピーライン チョーク・はや巻 PL-CLHM>という製品と、<SANSHUN 4m伸長スーパースリムフィッシャーSPCF-4000>。両製品とも落下防止の細紐をとりつけ樹上作業がしやすいようにしてハーネスに取り付けられるようにした。 ピーラインチョークのラインは30mのものに交換、スリムフィッシャーは手繰り寄せやすいように金具を追加。これらの道具を使うようになって樹上の動きがかなり自由になり、隣の木に乗り移ることも手間はかかるけれど何とか出来るようになった。