武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

木登り事始 その1

摩擦(フリクション)回避の工夫

 ロープを使って木登りをする時、どうしてもロープと樹皮がこすれロープと樹皮の両方にダメージを与えてしまう。このダメージを最小限にとどめる工夫がなかなか面白い。ロープの磨耗を減らしロープを保護するものとしては、ローププロテクターなどもあるが、ロープそのものを動かしながら登るDrRTシステムでは、フリクションセーバー(摩擦減らし)と呼ばれる様々な方式が工夫されている。

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内側に掛かっているのがSRTアンカーのハウススリーブ
 今回は、SRTシステムで個人的に使っているやり方にふれてみたい。樹上にトップアンカーを架設するにしても、根元にボトムアンカーを設定するにしても、ロープをかける際に樹木の又の部分とロープは必ず擦れあう。樹皮は木の内部を保護する表皮、風雪に耐え環境汚染にたえているために多様な汚れをためている。ロープとのこすれによって、樹皮の保護膜を削りとりロープの表面も汚れ傷む。ロープを手繰るのに意外なほど抵抗があり作業が力仕事になるのはそのため。
 これを回避するためには、SRTシステムでもハウススリーブを使うことにしている。SRTシステムでは11mmくらいの細めのロープを使うことが多いので、ハウススリーブは小径の外径22mm、内径14mmの細いものを使うと曲げ半径も小さくなり細めの枝にも使える。長さも500mmと700mmと短くして枝への巻き付けが可能なようにしている。これを使うと、ロープが樹皮をこする抵抗感が減り、準備作業(セッティング)が楽にできるうえに、幾分かは樹皮へのダメージも少なくなり、登る木とより仲良くできる気がして気分がいい。