作業日誌その145
*[山荘便り][作業日誌その145]
敷地内にムラサキシキブが増えてきた、すこし増えすぎかな、野鳥が実をついばみすぐそばで糞をするせいだろう
6月11日(火)曇り
午前、買い物と移動。
午後、敷地見回り、宅地部分と南斜面の刈り払い、読書と音楽。
6月12日(水)雨
午前、工作室の清掃と片付け。
午後、工作室の清掃と片付けの続き、SRTシステムの試行、読書と音楽
6月13日(木)晴れ
午前、地場野菜の買出し、北側のサルスベリとケヤキの剪定とそのチップ化。
午後、北東斜面のコナラでツレのクライミング手伝いと自分のツリクラ、読書と音楽。
6月14日(金)晴れ
午前、北西斜面のコナラにクライミング胴吹き小枝の剪定。
午後、移動。
木登り事始 その4
スローライン収納バッグの工夫
ロープを使った木登りでは、最初に目標とする木の枝にアンカーを架設するために地上からラインをつけた錘(ウエイト)を投げ上げて、最初の手がかり(足がかり?)とする。そのための道具一式をスローラインという。このスローライン一式(50mくらいの強くて滑らかなひもと300g前後の錘)が絡まないように収納し持ち歩くバッグをどうするかが今回のテーマ。50mもの紐を絡まないよう捩れないようバッグに収納するって意外と大変なこと。
市販の商品には、折りたたみ式の便利なものが何種類かあり、地上で使うのに便利なように出来ていていくつかは愛用している。持ち運ぶとき小さく畳めて、木の下で開いて使うとき便利なように様々な工夫がしてありありがたい。それらの専用のものは値段が高いので市販の安価な折りたたみ洗濯物入れを使ってみたがそれでも十分に使えた。
初心者の時期を過ぎると樹上での活動範囲を広げ、樹上でもスローラインを使って離れた枝にロープをかけ立体的に移動したくなってくる。その時、地上では使いやすかった収納バッグは使いづらくなる。ハーネスにぶら下げることを想定した商品もあるけれどそれも使いにくい。樹上でも使いやすい収納バッグはないかいろいろ試行錯誤してみた。
小型ツールバッグを折りたたんだところ、紙皿でラインを押さえているので絡みにくい
バックルを外して立ち上げたところ、紐を引いて紙皿とウェイトを取り出すと小型スローラインバッグになる
目をつけたのは、ホームセンターで手に入る小型のポップアップツールバッグ、折りたたみバックルを外して自立させると地上でも樹上でもラインを収納しやすく、収納が済み次第自作の紙皿でラインを押さえこみバックルをはめてバネを折りたたむと、高さが低くなり可なり激しく動いてもラインが絡まず、パウチを固定しておけばクライミング時のアップダウンでも気を使わなくて済む。ハーネスに取り付けるのにも苦労しない。ポイントはバックの内径に合わせて切り取った紙皿と紙皿が落下しないように取り付けた細紐。このアイディアにたどり着いてから市販のラインキューブの出番が少しへった。
木登り事始 その3
趣味(ホビー)としての木登り
まず<英語類義語辞典>という素晴らしいサイトに英語でhobbyと表現されている語のきわめて的確な説明があったのでコピペさせていただく。以下太字ゴシックが引用。
非職業的で、ある程度の技術や知識を要する少し専門的な「趣味」です。職業以外の時間の大部分を費やすほどの積極的な活動を指します。「専念」というニュアンスがあり、日本語の「趣味」の中でも取り分け「本当に好きなこと」「こだわっていること」「情熱を注いでいること」を指し、趣味というより道楽にあたります。
スポーツや切手収集、栽培(ガーデニング)、絵画などが代表的です。履歴書に適当に書く程度の読書や音楽鑑賞は hobby には含まれません。また hobby は非職業的活動ですが、実益を兼ねている場合も多数あります。
私のやっている木登りは、趣味としての木登りだが、どんなことをやっているのか自分自身や人に説明するには、英語で言うところの趣味hobbyにあたることが分かってもらえれば、とてもシックリする。非職業的で、少し専門的、道を楽しむという本来の意味の道楽にあたり、実益も兼ねているというのもぴったり。
ハーネスにつなげた複数のロープが行動の自由と命を守っている、腰に実益用のノコギリを下げている(笑)
今のところ、ロープを駆使する木登りは大きくは二通りに分かれており、レクリエーションとしての木登りと仕事としての木登りがある。レクとしての木登りは、子どもからお年寄りまでの幅広い年齢層を対象にしてツリークライミング体験などのイベントが企画されている。仕事としての木登りは、林業や造園業の作業領域の新しいオプションとして普及がはじまっている。
両者の違いは、安全に対する考え方の違いに良く現れている。レクとしてのツリクラの安全性は、イベントに参加するどんな参加者がいかなることがあっても危険なことにならないように、周到に配慮した至れり尽くせりの安全性を追求している。限りなくリスクをゼロに近づけたシステムと言って良い。
仕事としての木登りは、ロープワークと呼ぶのがふさわしい。仕事であり労働であるので最低限でも労働安全衛生規則に従わなければならず、使用する道具類の命に関わる重要部分PPEは、製造メーカーの安全保障と法的な安全規格をパスしていることを条件とする。チームとして就業することが多いので、ルール厳守の世界でもある。場合によってはリスクを承知で取り組むミッションもありうるので、リスクマネージメントの徹底が求められる厳しい世界である。
私のホビーとしての木登りは、レクとワークの間を揺れ動いており両方の領域にまたがっていることもあり、若干のリスクを取りながら真剣な楽しみを味わい植栽管理の実益も兼ねている。
木登り事始 その2
ハウススリーブの引っ掛かり回避の工夫
何度も失敗を重ねてやっとタイインポイントに想定している枝にスローラインが通り、ほっとしてロープにラインを結び引き上げると、時にどうしてもハウススリーブの金具が樹皮か何かに引掛かってロープが通らないことがある。何度やり直してもハウススリーブが進まずイライラがつのる。金具とロープの段差を何とかできないかが課題だった。
左が30×16のもの、右が25×16のもの
ネットサーフィンをしていて、あるサイトの画像が目にとまりひらめいた。それは<TS径違いソケット>という商品名のもの、大きさの違う塩ビパイプをつなげる時に使用する塩ビ製ジョイント。細い方にロープが通り、太い方にハウススリーブと金具がセットできれば何とかなる。サイズを選ぶのにちょっと苦労したが、呼び径25×16のものと30×16が使えることが分かった。金具と同じサイズか金具より大きくて金具が嵌るサイズにするかどちらも可。ロープの直径と同じ×13のものでは内部の段差に引っ掛かり上手く通らない。
左が30×16のもの、右が25×16のもの(右の画像は左右逆になっている)
決まったら細部の加工で、引っ掛かりの原因となっている段差をいかに減らすかがポイント、細い方の塩ビのふちをグラインダーで斜めにしてロープとの段差を解消した。太い方はそのままではハウススリーブの金具が嵌らないので、ナイフと丸やすりを使い塩ビの内側を斜めに削り金具とハウススリーブがソケットに嵌るようにした。径違いのソケットの外側の段差もグラインダーで削り強度を損なわない程度に滑らかにした。金具と同じサイズで段差を解消するタイプは一工程少なくてすむ。
自分で改造した塩ビ径違いソケットを使うようになって、まだ一度も木の枝にハウススリーブが引っかかったことはない。どちらもホームセンターの塩ビパイプコーナーで入手できる。
木登り事始 その1
摩擦(フリクション)回避の工夫
ロープを使って木登りをする時、どうしてもロープと樹皮がこすれロープと樹皮の両方にダメージを与えてしまう。このダメージを最小限にとどめる工夫がなかなか面白い。ロープの磨耗を減らしロープを保護するものとしては、ローププロテクターなどもあるが、ロープそのものを動かしながら登るDrRTシステムでは、フリクションセーバー(摩擦減らし)と呼ばれる様々な方式が工夫されている。
内側に掛かっているのがSRTアンカーのハウススリーブ
今回は、SRTシステムで個人的に使っているやり方にふれてみたい。樹上にトップアンカーを架設するにしても、根元にボトムアンカーを設定するにしても、ロープをかける際に樹木の又の部分とロープは必ず擦れあう。樹皮は木の内部を保護する表皮、風雪に耐え環境汚染にたえているために多様な汚れをためている。ロープとのこすれによって、樹皮の保護膜を削りとりロープの表面も汚れ傷む。ロープを手繰るのに意外なほど抵抗があり作業が力仕事になるのはそのため。
これを回避するためには、SRTシステムでもハウススリーブを使うことにしている。SRTシステムでは11mmくらいの細めのロープを使うことが多いので、ハウススリーブは小径の外径22mm、内径14mmの細いものを使うと曲げ半径も小さくなり細めの枝にも使える。長さも500mmと700mmと短くして枝への巻き付けが可能なようにしている。これを使うと、ロープが樹皮をこする抵抗感が減り、準備作業(セッティング)が楽にできるうえに、幾分かは樹皮へのダメージも少なくなり、登る木とより仲良くできる気がして気分がいい。