武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 モーツアルト「魔笛」「モスクワ室内歌劇場管弦楽団」公演

toumeioj32005-07-02

 2年ほど前、「モスクワ室内歌劇場管弦楽団」の公演でモーツアルトの「ドン・ジョバンニ」を鑑賞、驚くほど斬新な演出と高い音楽性の魅せられたので、今回、同じ歌劇場管弦楽団の「魔笛」公演を見てきた。
 まず、今日の公演の感想を、演出全体は、魔笛には奇抜もしくは斬新な演出がたくさんあるせいか、ユニークではあったが前回の「ドン・ジョバンニ」の時ほど驚かなかった。むしろ、もっと驚かせてほしかったのかもしれない、期待するとはそうゆうもの。
 出演者では、夜の女王を演じたソプラノのエレーナ・コノネンコのおきゃんで怪しげな演技がよかった。夜の女王の娘パミーナを演じた同じくソプラノのエレーナ・アンドレエーヴァは、素晴らしく高音域へと伸び広がるまろやかな美声とかわいらしい容姿と演技が良かった。会場から熱烈な拍手を浴びた。
 男性陣では、鳥刺しのパパゲーノを演じたテナーのニコライ・シチェムリョーフのユーモアあふれる達者な演技が光った。ザラストロに仕えるムーア人のモノスタートス役をやったセルゲイ・オストロウーモフの切れのある動きと渋いテナーもよかった。異国の王子を演じたイーゴリ・ヴャールフィはスマートだが少し線が細く、現代風の好青年と言う感じだった。
 休憩の20分を含めると3時間近い鑑賞時間だったが、笑ったりしんみりさせられたりして、十分に楽しませてもらった。最後に、入場の時もらったパンフレットから、同歌劇場管弦楽団の紹介文を引用しておこう。

長年モスクワのボリショイ劇場の首席演出家を務めたポリス・ポクロフスキーによって1971年に設立されたこの室内歌劇場は、ルナチヤルスキー記念国立演劇大学でのポクロフスキーの教え子とモスクワ音楽院の卒業生を中心に構成されている。1972年、シチェドリン《愛のみならず》で結成披露公演を行い、その後ロシア各地で好評を博す。
 1974年、本拠地となった独自の劇場を得ると共に、音楽監督ゲンナジー・ロジェストヴェンスキーを迎える。以降、ロシア国内はもちろん、ベルリン芸術週間、ドレスデン音楽祭、ヘンデル音楽祭への出演、オーストリア、イタリア、フランス、イギリス、オランダ、チェコポーランドなどでの定期的な公演で、独自の舞台を展開し絶賛を浴びる。レパートリーは多岐にわたり、埋もれていたロシアの古典作品から現代作品に至るまで、さらにミュージカルに類するもの、ロック・オペラまでこなす。伝統にとらわれず、自由自在に新しい試みを行うこの室内歌劇場は、ロシアのオペラ界のみならず、世界のオペラ界に新風を吹き込んでいる。