武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 アスベストの健康被害の実態、死者177名。(今日の朝日新聞)発症者の職業は様々。国は公害病に認定し早急な対策が急務 あなたの周りからもきっと見つかるアスベスト!(写真は今朝の散歩で見つけたアジサイの花、中が本当の花)

toumeioj32005-07-10

 先月の終わり頃から知る人ぞ知る危険な発ガン性物質アスベスト健康被害がマスコミで報じられ、連鎖反応のように次々と健康被害が掘り起こされ紙上をにぎわわせている。いままで表面化していなかったアスベスト健康被害の恐ろしい本当の実態が明らかになってきた。今から40年前に既にアスベストの怖さは分かっていた。利便性と経費削減のために、建物に使われ続けてきたもの。今となってはほとんどが手遅れ、発症を待つしかないなんて何と酷い。
 最初は、大手機械メーカー「クボタ」。従業員に石綿による死者79人が出ていたと言う悲惨な報道。従業員だけでなく周辺住民にも死亡者2名を含む数名の健康被害が出ていたと聞いてやっぱりなと思った。どんな場合でも従業員が被害を受けるようなら、その周辺住民も危なくないわけがない。危険性を低く見積もり、安全対策の経費を抑え、企業の利益を最優先する思想、競争原理の行き着く先には被害者がいる。
 続いて、日本の石綿業界のパイオニアニチアスでもこれまでに従業員86人が死亡。周辺住民だけでなく、工場で働いていた従業員の家族にも被害。アスベスト健康被害は予想外の広がりを見せてきた。
 これまでアスベストの危険性について知られていなかったわけではない。対策らしいこともされてきていた。いつも対策が後手に回るこの国でも一応のことはやってきたというが・・・。
 ①「労働安全施工規則」および「特定化学物質等障害予防規則」の改正(平成7年1月)→石綿アスベスト)含有率が1%を超える吹付け仕上げ材が施工された建物の解体・改修工事は、石綿粉じん飛散防止対策の規制対象となった。対象となる吹付け仕上げ材は以下の通り。(吹付けアスベスト、吹付けロックウール、吹付けひる石(吹付けバーミキュライト
 ②「大気汚染防止法」の改正(平成8年5月)→建築物の解体等に伴う石綿の飛散防止について所要の規制措置を講じること
 ③「労働安全衛生施工令」の一部改正(平成15年10月)→石綿含有率1%を超える建材等の製造・使用が全面禁止。(平成16年10月から実行)
 ※含有率の低いものは、製造禁止になっていない、平成7年に規制対象となったものが、昨年まで製造されていた、これだけでも普通に考えればおかしな話。
 ※では、今後大量に発生すると言われる使用済みの建材等の解体時の飛散防止措置はどうか。ビルの解体工事を見たことがある。アスベストの飛散防止方法は何と散水、水撒きですよ。10年ほど以前にベルギーを旅行した時、EU本部のアスベスト撤去工事を見たが、巨大なビル全体を気密カバーで囲い、ポンプで内部の気圧を下げ、周辺部に飛散しないような対策を講じながら慎重に撤去作業をやっていた。散水程度で飛散が防げると思っているんですかね本当に。解体工事があったら1km以上離れることを薦める。
 ※解体物の移動の際は、アスベストを含む廃棄物は、積み替え保管なしに最終処分場へ持っていくことになっているが、途中の移動時の安全対策が不安。最終処分場に眠るアスベストの管理これも不安。
 大量に製造し、大量に使ったので、大量に処分がこれから続々と出てくることになるはず。どこで、どれだけ使って、最終的にどうなったか、実態を調査してきちんと情報を収集、アスベストを全面管理すべき。
 吸引から発病まで20年から50年。アスベスト関連の工事関係者にとって、静かな時限爆弾を胸の奥に抱えるような日々が延々と続く。なんと言っていいやら。肺癌以外の病気の原因になることも次第に分かってきている。長期間劣悪な作業環境にいなかった者の中からも健康被害がもっと出るに違いない。今からでも出来る対策は徹底的に講じてもらいたいと切に願う。