武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団のコンサート印象記

toumeioj32005-11-24

 チェコフィルの全曲ドヴォルザーク公演があると言うので、所沢文化センター・ミューズ・アークホールへ聴きに行ってきた。プログラムは、①序曲「謝肉祭」、②交響曲第8番ト長調、③交響曲第9番ホ短調新世界より」。指揮はズデネク・マカール。
 文句なしに楽しかった。どの曲も、ドヴォルザーク特有の哀愁を帯びた美しいメロディーの歌わせ方が抜群、透明感のある繊細な弦楽器の調べにうっとりしていると、伸びやかで輝きのある管楽器が鮮やかに伸び広がり、サービス満点の打楽器が広いホールの空間を震わせる。耳を澄ませないと聞き取れないような弦のささやきから、落雷のような音響の炸裂まで、幅広いダイナミックレンジをフルに使い、音響のドラマを繰り広げてくれた。それにしてもドヴォルザークの曲は、何とサービス満点の娯楽性に満ちていることか、美しくかつ荒々しく飽きさせない音作りのドラマが目まぐるしく展開する。
 ズデネク・マカールさんの指揮とチェコフィルの性能が、見事に融合した結果だろう。どんな大画面のスペクタクル映画も尻尾を巻いて逃げ出しそうなほど、素晴らしい熱演だった。私など、力の限りの熱演と、心を込めた優しいフレーズがともに聴ければ、まず満足する方だが、今日の演奏は十分すぎるほど私の嗜好を満足させてくれた。