武蔵野日和下駄

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 『ゲルギエフ指揮・マリンスキー歌劇場管弦楽団・ワーグナー指輪演奏会』印象記

toumeioj32006-01-09

 本当なら1月11日から東京文化会館で始まる「ゲルギエフ&マリンスキー・オペラ2006《ニーベルングの指環》」の4日間のリングチクルスに行きたかったが諸般の事情により断念、所沢ミューズ・アークホールのハイライト演奏会に行ってきた。前回、モーツアルトの「魔笛」を見たが、斬新な舞台と迫力満点のオーケストラ演奏が非常に素晴らしかったので、期待していったが、十分に満足した。
 前半は、「ニーベルングの指輪」のハイライト演奏、歌劇場の管弦楽団らしく、効果満点の盛り上がりと鮮明な情景描写力を堪能した。ワーグナーからは、大型スクリーンを駆使するハリウッド映画などが、音響効果として影響を受けているところを随所に感た。オペラのバックを流れる管弦楽を音響効果として聴くとその素晴らしさがたっぷり楽しめる。打楽器、管楽器、弦楽器の全オーケストラ楽器が、総力を挙げて爆発を繰り返すクライマックスは、じっと座っているのがつらくなるほど圧倒的、大きなホールでしか味わえない管弦楽の炸裂が凄い。音が身体を押す圧力となって襲い掛かる気がするほど、素晴らしい。
 後半は、ワルキューレの第1幕全曲、舞台装置を使わない演奏会形式の上演、やっぱりゲルギエフ演出の斬新な舞台と一緒に見たいという思いが頭をよぎった。歌唱も演奏も凄い迫力なだけになおさら本物のオペラ公演を見たくなる。ただしだが、私自身ワーグナーの考え方と言うか、あまりに全体を統括しようとする強烈なまでの意思というか、そういう物々しさが苦手なので、素晴らしいと思う反面、付いていけないようなチトした反発心が芽生えてくるのを抑えきれなかった。モーツアルトのようにもう少しお気楽な楽しい音楽の方がうれしい。演奏自体には全く文句がなかった。 
 最後に、本日のプログラムを引用しておく。当日になって、プログラムが一部変更になったので、多分こんな内容だったはず。

1、「ラインの黄金」〜ワルハラ城への神々の入場(管弦楽演奏)
2、「ワルキューレ」〜ワルキューレの騎行管弦楽演奏)
3、「ワルキューレ」〜魔の炎の音楽(管弦楽演奏)
4、「ジークフリート」〜森のささやき(管弦楽演奏)
(休憩)
5、「ワルキューレ」第1幕(全曲演奏会形式)