武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

『アウトドア・ものローグ』芹沢一洋著(発行森林書房)(画像は、あるサイトから頂いてチト加工したもの、手持ちの本書はカバーがとれみすぼらしく人様にお見せできる体裁をしていないので)

toumeioj32006-02-06

 ここ数日、武蔵野一帯の寒さが厳しくて、野外活動がしたくても、つい室内に閉じこもってしまい、ストーブのまわりでぐずぐずしている。雨の日の釣り師の心境に近いせいか、アウトドアの手ごろな本を手に取った。この本は、アウトドアの活動ではなく、活動のお供に連れ歩いた、お気に入りの道具達への偏愛を綴ったショートエッセイ集、道具達を大きく写した見開きいっぱいのモノクロ写真に、4ページほどの短文を配置してある。
 著者の幼い頃の思いであり、国内各地はもとより、遠く海外での野外活動の一齣まで、豊富なエピソードが散ればめられ、たっぷりと野外の香りをただよわせて、こちらの気持ちを野外へと誘惑しにかかる。子供の頃の遠足の前の晩の、リュックを枕元においてワクワクしながら眠りに付く感じが全編に漂っている。もう少し気候がよくなったら、軽い弁当など準備して、近場でいいからどこかへ日帰りで出かけてみたいな、という気にさせられる。
 趣味の書籍には、趣味なるがゆえにどこか押し付けがましいものがあるが、この著者にはあふれでる趣味の喜びがあっても、あくの強い押し付けがましさを感じない。ひたすらに、しかも簡潔に、趣味の喜びをとくとくとして語るところが楽しい。わずか4ページ分に内容を短くしたのが、よかったのかもしれない。ネットで探してみたが、現時点では入手が困難なようで惜しい気がする。取り上げられている道具達を拾い上げてみよう。

軽登山靴、ルックサック、杖、ナイフ、野外食事具、シャツ、ショーツ、野外寝具、テント、キャンドルランタン、小型ライト、マッチ、ウールのシャツ、レインジャケット、ダウンジャケット、身だしなみ用品、トイレットトラウェル、短眼鏡、バードコール、帽子、フィッシングシャツ、フライフィッシング・タックル、防虫ジャケット、ラバーボトム・シューズ、楽しみのための計量機器、フィールドパンツ、ウールのセーター、クロスカントリースキー、アンダーウエア、スパッツなどなど。

 男達が、物に対する愛着を語りだす時、時として素晴らしいフレーズを奏でることがしばしばある。私は男達のそんな雑文が大好き。