武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 『猫〜その瞳に魅せられて〜 岩合光昭写真展』印象記 所沢市民文化センター・ミューズ・ザ・スクエア(画像は、入場料のチケットに写っていた岩合さんの猫の写真、素晴らしい表情を見せているので使わせていただいた。)

toumeioj32006-03-21

 岩合さんの珍しい猫の写真展の最終日、行きたいと思っていたが都合が付かなくて今日やっと散歩をかねて見てきた。この写真展に是が非でも行きたかったのには理由がある。
 一つは、私も猫が好きなので何度もカメラを向けたことがあるが、ほとんどの場合、逃げられてしまい、なかなか気に入った写真を取らせてくれないという、苦い経験を何度も繰り返しているから。シャッターを押そうとする際の一瞬の緊張感が嫌いなのか、ぷいとベストショットを外されてしまう。なかなか良い表情を取らせてくれないということが身にしみて分かっているから。
 もう一つは、子どもの頃から育った家で猫を飼っていて、ずっと猫に親しんできたきたため。私も、どこを旅行していても、猫がいれば必ず気が付き、視線をひきつけられる1人、外国旅行をしていてもよく猫をみつける。素晴らしい動物写真集を何冊もものされている岩合さんの猫をテーマにした写真展だけに、是非見たかった。
 展示されている写真は、総て猫の写真で120点余り。各地の人々の暮らしの中にしっかりと居場所をみつけて、居心地の良い場所にしっかり居ついている数々の猫たち、岩合さんが猫の良い写真をとるのには、人々の暮らしと猫の生き方との接点をきちんと見切っている写真家としての鋭い視点があるからだということが分かった。単なる猫好きでは、こんなに凄い写真は撮れないな、とつくづく思わされた。
 それと、多分、岩合さんは猫に警戒されない、むしろ、猫に好かれる何かをお持ちの方だと思った。猫達がカメラの前で実に良い表情を見せている。猫に嫌われては、絶対にこんな写真は撮れない。とにかく、どの写真の猫も実に生き生きとして本当に猫らしい(当たり前のことか)。子猫の愛くるしさよりも、親猫の存在感を上手くとらえているのに感心した。子育て中の親猫をご存知の方なら、きっとあの存在感はご存知のはず。
 それと、一匹の猫よりも数匹が群れをつくり、連れ立っている場面が多いのに驚いた。そういえば、昔、我が家でも外的にチームワークで立ち向かう猫達がいたことを思い出した。猫って、ひょってして社会性のある動物なのかもしれないなどと思ったりした。
 総ての写真に、一読、写真の意味がぴんと来る、分かりやすくて温かみのある解説が付いていた。写真家の猫好きがじかに伝わる名文ぞろいだった。気持ちの和む、良い写真展だった。インターネットで調べると、各地で同様の写真展を開いているらしい。機会があったら、是非ご覧いただきたい。