その① 『何もしないということ』
(画像は散歩の途中で見つけた可愛い花)
退職した後、
何をするかという話題がある。
仕事は、しないことにしている。
働かないと食べてゆけない労働者の身分だったので、
40年近くしかたなく働いてきたが、
仕事人間にはなれなかったので、
働くのはもういい。
今は、何もしない日々を楽しんでいる。
体調を維持するための軽い運動と、3食の食事作り、
後は、毒にも薬にもならない娯楽読み物の読書と、
ラジオ講座のスペイン語。
気が向くと、国外や国内各地への旅行。
暇をもてあますかと思っていたが、
もともと暇な時間が大好きだったので、
少しも退屈なんかしていない。
読みたかった本は、
書庫にも図書館にも限りなくあり、
読書用の老眼鏡のお世話になりながら、
のんびり読み進んでいる。
新作の映画も見たいし、
コンサートや展覧会、美術館にも行きたい。
朝の涼いうちに散歩に出かけると、
荷物を満載したトラックや通勤に出かけるサラリーマンと行き交う。
働く人たちのお世話になりながら、
日々を過ごしていることを思うと、まるで王様にでもなった気分。
貧乏貴族といったところかもしれないが、すこぶる快適。
人生の初めの20年は子供から大人に向かう勉学の時代、
20歳から60歳までの40年間は、働き蜂の時代、
そしてこれからは、何時まで続くか分からないが無為徒食の時代。
ほとんどストレスを感じないので、
精神的には極めて健康、
体調管理に気をつけて、
毎日が日曜日をせいぜい楽しんで暮らしてゆこう。
人生の後半に
こんな楽しみが待っているとは
知らなかった。
この時期を待たずに他界した友人達のことを思うと
なんともやりきれない。
何が何でも生き延びて
定年後の魅惑に満ちた空白の時間を
楽しまないことには、生きてきた甲斐がないというもの。