武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 映画・ダヴィンチ・コードの印象記

toumeioj32006-06-12

 先日、ダヴィンチ・コードの映画を見に行った。開始時間の10分ほど前に映画館についたら、30人ほどの行列が出来ていたのに、吃驚。評判になっているような映画を余り見たことがないので、本当に吃驚した。
 見た印象は、1000万部売れたという原作を何年か前に読んでいたせいか、面白かったのだが、ミステリーの終わりを知っている読者のような、少し味気ない思いをしながら、楽しませてもらった。本を読む前に見たらもっと楽しめたのではないか、チト残念。さて、いくつか気になったことを羅列してみよう。ところでこの本の販売部数を調べたら、2000万部、4000万部などととんでもない数字が並んでいて驚いた。本当のところ一体どれほど世界で読まれたのだろう。私が買った古本は、我が家の家族と友人達とで最低5人はお世話になった。本当に面白い本は、1冊を何人もでまわし読みするので、コストパフォーマンスが高くなる。古本屋で半値以下で買って、紙がくたくたになるまでまわし読みする読み方ほど良い読み方を他に知らない。
 ①原作のダン・ブラウンの小説の方が、断然優れていると思われる緊迫場面が何箇所かある。特に、飛行機と地上との追跡シーンは、小説の方がはるかにスリリング、ダン・ブラウンさんの小説テクニックの素晴らしさに改めて感心した。
 ②男性の出演者の存在感が余りにも素晴らしく、それに比べて女優の影が薄いのが気になった。特に、トム・ハンクスジャン・レノの個性派の存在感がすごい。物語の重要な鍵になっている<ソフィー>を誰がどのように演じるのか気にしてみたが、はっきり言ってチト物足りない。フィクションながら現代にまでつながるイエスマグダラのマリアの子孫の映像だけに、個人的に期待しすぎたのかもしれない。
 ③オプス・デイの修道僧殺し屋シラスを演じたポール・ゲタニーの演技が不気味で哀れ。強く印象に残った。
 この映画は入場料を払って見る価値があるか。原作を読んでない方は、たっぷり楽しめるような気がする。既に読んでいる人は、見方によって楽しめたり楽しめなかったりしそう。
 私の場合シニア料金で見たのでそんなに不満はなかったが、それにしてもこの国の映画館の入場料は高すぎる。諸外国のように安い定食1回分程度で見られなければ、沢山の入場者は望めない気がする。複製芸術の粋、大衆娯楽の華、映画こそ薄利多売が似つかわしいと思うのだが残念でならない。