武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 秩父の山里で春を楽しむ

 久しぶりに秩父方面へドライブに行っってきた。羊山公園シバザクラとその近くの水芭蕉園を見た。
 シバザクラは評判通り、小高い丘の山頂付近の窪地を上手に使い、色とりどりに毛氈を敷き詰めたようなお花畑はさすがに見事、ウイークデイで高齢者が多かったせいもあるが、思わず天国の花園シーンを思い浮かべてしまった。余りに見事だと不吉なことを連想するのは私の悪い癖。きっといつか夢の背景になって出てきそうな気がした。思わず頬の筋肉がゆるんでしまうような、のどかな春の情景だった。 (画像をクリックしてオリジナルサイズを表示して見てください、少しは感じが掴めるでしょう)
 昼食後にいったミズバショウは少し時期が過ぎていて、一面の花盛りというわけにはいかなかったが、ぬるみはじめた水中に夥しいオタマジャクシが泳ぎ回っていて、昔を思い出した。親の蛙だと思うが、水田のあちらこちらから鳴き交わす声が聞こえた。昔は蛙の鳴き声の大合唱がうるさいくらいだった。それと比べればささやかなもの。
 シバザクラの花園で呟いたりすると顰蹙をかいそうな句を一つ。


  どの道を往きても墓へ芝桜   福田甲子雄