武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 『スイス・アルプスを撮る−やさしく学ぶ写真教室』 小川清美著 (発行新潮文庫2006/4/1)


 美しい風景を美しく撮りたいと思うのは、カメラを持ち歩く全ての人の願いだろう。私の思いも同じだが、これがなかなか思うようにはゆかない。旅行から帰ってPCで再現してみると、どこか違う全然違う、という思いにため息が出てしまうのはいつものこと。
 この本は、何気なくBookoffで手にした1冊だったが、非常に分かりやすく書かれていて、著者の写真教室での経験が生かされているのか、説明のポイントが多すぎず、良く整理されているのに感心した。使われているお手本のスイスでの作例も美しく、こんな写真が撮れたらいいなと、鑑賞しながら楽しく読み進むことができた。
 個人的には、白や黄色の花を撮るとき、思い通りにならなかった原因と対策がわかったことが、収穫だった。また、朝と夕方の斜めの光線の魅力、雨の日や曇りの日の柔らかい光の良さについて、繰り返し書かれているのが印象に残った。
 スイスに旅行に行く前にこの本を読んでいたら、どんなに良かったかと思うと残念。私がこれまでに読んだ写真入門のベスト5に入れておきたい良書である。