武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 公園の一本のプラタナス


 早朝の散歩を楽しんでいる航空公園の東側に1本のプラタナスがある。その大きめの葉がこのところめっきり色づいてきた。周囲に広く芝生の空間を取ってあり、比較的大きな空間を占有している。
 春の花を付け実を結ぶ頃から、冬の裸の枝を寒風にさらす季節まで、いつ見てもスックと立っている立ち姿が凛々しくて見事なので、この公園の中の気に入っている樹のひとつ。
 東側にあって背が高く、遮るものがないのでこの公園では真っ先に朝日が当たる。てっぺんから少しずつ光の水面に姿を浮かび上がらせていき、やがて周囲がみんな明るくなる。この公園では、そのようにして一日の朝が始まるとも言える。
 このプラタナスの前を通る時、樹が過ごしている途方もなく長くゆるやかな時間のことを考えることがある。