武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 赤城山に関連のある書籍紹介(02)

NHKのドラマ「花燃ゆ」の舞台として群馬県が脚光を浴びているようだが、赤城山のほうは少し寂れている印象をうける。首都圏に近すぎて観光客が通過してしまい、立ち止まって遊んでいってくれないというのが前橋市の悩みのようだ。立ち止まってその魅力を語っている資料を掘りおこしてみよう。

006 『命を輝かせて生きる―わたしの選んだ第二の人生俵萌子著/海竜社1996/3/8発行
俵萌子さんの本を1冊紹介したが著者の赤城への入れ込みようからすると、もう一冊追加しておくべきだろう。こちらの方は紛れもない赤城山麓エッセイ集、目次からして<森の暮らしの春、夏、秋、冬>の章が中心となり今は亡き俵さんの赤城における晩年の元気いっぱいの日々が躍動的に綴られている。著者撮影の写真がほぼ全ページを飾っているのも愉しい。

007 『日本百名山』 深田久弥著/新潮社1964発行
   40番目に赤城山の紹介がある。「山には、きびしさをもって我々に対するものと、暖かく我々を抱擁してくれるものと、二種類ある。赤城山はその後者のよい代表である。」という書き出しで、親しみ深い赤城山の特徴を、簡潔かつ的確にまとめていて見事。

008 『聞き書 群馬の食事』 日本の食生活全集群馬編集委員会著/農山漁村文化協会1990/6/25発行
   「赤城南麓の食」の章があり、勢多郡富士見村小暮(現前橋市富士見町)での聞き書きにより、同地区における戦前の時期の食生活が詳細に記録されている。取材対象は、豊かな米作り農家なので、水田を持たない貧農の厳しい食生活を予想すると、意外に豊かな暮らしぶりに驚く。食の楽しみに工夫を凝らした生活ぶりがしっかりと取材してある。

009 『光太郎と赤城』 佐藤裕美著/三恵社2006/4/2発行   
   高村光太郎が青年期を過ごした明治30年代頃の赤城山という、とんでもなく遥かな時代を舞台に、多くの資料を読み解き、当時の文学状況や光太郎の恋愛劇と人間形成、赤城の山岳信仰赤城神社の位置づけ、山頂にあった唯一の宿泊施設猪谷旅館の役割など、地元の研究者らしい地域に即した周到な調査が嬉しい。挿入されている古き時代の写真資料が目を引く。

010 『るるぶ特別編集 前橋 赤城山14〜15年版』 群馬県前橋市観光課/JTBパブリッシング 
   表紙と裏表紙を含め全部で32ページの小冊子、一時期、前橋市内の観光施設で無料配布していたもの、赤城山麓の観光施設をビジュアル満載で紹介したパンフレット最新版。最新の観光情報にアクセスするのにとても便利。2010年度版、2013〜2014年度版も発行されていたので好評でシリーズ化したものか。山荘のゲストに差し上げて喜ばれている。