武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 『おんがくぐーん』音楽の学校4・音楽の劇場4(発行ほるぷ出版)

 A面に入っているのは、音響効果を巧みに利用した物語、音を食べる怪獣が町中の音を食べて街の音がなくなってしまうが、消化の悪い音を食べたせいか、あるいは食べた音の組み合わせが良くなかったのか、それとも単なる食べ過ぎのためか、怪獣が腹痛を起こしてしまい、食べた音を吐き出して腹痛から回復すると言う単純なストーリー。話の進行に合わせて使われる沢山の音を楽しむべきだろう。シンセサイザーでつくった機械的な音ではなく、自然な街の生活音を巧に組み合わせてあるのが面白い。

[音楽の学校4]
◎怪獣ムシャムジャがやてきた
 作=川崎洋
 音楽=宇野誠一郎
 怪獣ムシャムジャ=柳家つばめ
 子どもの合唱=児童合唱団

 
 B面は、例によって林光の作品集、「緯1」というのは何と琴をメインにした現代音楽、繊細に丁寧に作られているので聞いていて心地よい曲だが、子ども達は最後まで退屈しないで聞いていられるだろうか。組み合わせた映像がないのが残念な気がした。「道」と「子どもと線路」は、谷川俊太郎の詩を、歌にして、フルートの演奏をからめたもの。単なる詩の朗読よりもはるかに楽しい、それにしても、谷川俊太郎独特の透明な悲しみのような情感が流れていて、それがフルートの銀の線のような音色と合わさって、何とも寂しい感じが何とも言えない。子どもを主題にした詩だが、大人向けの作品のような気がする。

[音楽の劇場4]
◎緯1
 作=1959年
 二十絃筝=野坂恵子
 フルート=野口龍
 ホルン=田中正大
 バス・クラリネット=斉藤明
 コントラバス=野口武
 *お琴で弾く現代音楽
◎道、子どもと線路
 作曲=1966年
 詩=谷川俊太郎
 ソプラノ独唱=勝本章子
 フルート=野口龍
 *声とフルートが手を取り合ってひとつの歌をうたう