武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 新たな生活空間の構築(12)


《歓迎されざる訪問者》

山荘の林床には沢山のヤマユリが自生しており、
7月の下旬ごろに花をつけるのを楽しみにしていた。
黄緑色をしていた蕾がふくらみ、
少しずつ咲き始めたので喜んでいたところ、
朝、起きてみたらヤマユリの花が見えなくなっていた。
不思議に思い現場に行って見ると
根元の球根がなくなり、ヤマユリが倒されていた。
(開花したヤマユリのあでやかな姿)


周囲の地面に掘り返された痕跡が何箇所もあり
蹄状の足跡がみつかった。
確実なことは分からないが、状況を総合的に判断して
多分、1頭のイノシシが深夜か早朝にやってきて、
球根や地下茎の養分のあるところを
掘り起こして食べていったようだ。


その後、広い範囲を調べたところ
さらに何箇所か地面を掘り返した跡がみつかり
4〜5cmほどの蹄状の足跡がみつかった。
掘り返した地面のそばの足跡は、
力を入れて踏ん張ったらしく足跡が深くめり込んでいた。


山里のイノシシ被害のニュースは耳にしていたが
まさか自分の敷地にやってくるとは。
全く予想していなかったのでいささか吃驚した。
いまのところ敷地に菜園を作る予定をしていないので
特に被害を心配するほどのこともないが、
歓迎されざる不意の訪問者にはたまげた。
(イノシシが掘り返した跡と土にめり込んだ足跡)


元はと言えば彼らのほうが先住の生き物なので
しぶしぶ諦めはしたものの
ネットで調べてみても対策は難しそうなので
しばらくは様子を見ることにしよう。


そのイノシシが荒らした場所の直ぐそばにある萌芽更新の切り株が
子どもの頃から好きだったネムノキであることに気がついた。
こちらの方は嬉しいサプライズだ。
ネムノキの開花が始まったらしく地面にふさふさの花が落ちていて
見上げると枝先に膨らみかけた赤いものがちらほら見える。
ネムノキにしては樹形があまりにほっそりとして背高だったので気づかなかったのだ。
一つの切り株から大人の手首くらいの太さのが3本のびて
高いところ独特の葉を茂らせている。
また一つ楽しみが増えた。