武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 今日、所沢市民文化センター・ミューズにて小林研一郎指揮の日本フィル演奏会があり、小研(コバケン)さんの盛大に盛り上がる指揮を期待して聴きにいってきた。プログラムはチャイコフスキー、小山実稚恵さんのピアノによるピアノ協奏曲第1番と交響曲第4番。

toumeioj32005-10-10

 まず、前半の小山実稚恵さんのピアノが良かった。昨年、スクリャービンピアノソナタ全集をリリース、話題になった実力派ピアニスト、期待通りメリハリのある立派な演奏、この曲は高らかに鳴り響くオーケストラと体重を鍵盤に叩きつけるような分厚いピアノの能力全開の和音の塊が、がっちりぶつかり合う演奏が面白い。第1楽章と第3楽章は泥臭いまでにロシア的に、そして第2楽章は優しく素朴なロシア風に、かつてのロシア革命以前のロシアかくあるべしと言うような灰汁の強い演奏が好き、小林研一郎小山実稚恵さんは、繰り返しアイコンタクトを取りながら、見事にこの曲の感じを一気呵成に聴かせてくれた。なかなか拍手が鳴り止まず、会場は一気に盛り上がった。小山実稚恵さんのピアノソロも聴いてみたくなった。 (次の画像は小山実稚恵さん)
 
 後半は、交響曲第4番へ短調チャイコフスキーを聴いていつも感じることだが、管楽器の燦然とした響きがじつに効果的。重苦しい弦楽器の合奏を切り裂くような管楽器が縦横に活躍する明快な指揮、第2楽楽章になるとチャイコフスキー特有の美しすぎるほどの美しい叙情的なメロディーの流れ、ここはたゆたうように流れるようにじっくり聞かせ、第3楽章の弾ける弦の響き、明るく切れのいい演奏、そして第4楽章の天井から床までのホール全空間を震わせるようなフィナーレ、音が塊となって炸裂し飛散する。フゥー、良かった。
 指揮者が指揮台の上で飛び上がり、全身全霊を傾けて曲を作ってゆく。小林研一郎の指揮を後ろから見ていると、思わず全身に力が入ってしまう。そして、満場の拍手を浴びている時の笑みこぼれんばかりの笑顔、コンサートの醍醐味をたっぷり満喫させてもらった。
 最後に、本日のプログラムを引用する。

チャイコフスキー:バレエ『くるみ割り人形』より「花のワルツ」

チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番変口短調 作品23
  ◇第1楽章 アレグロ・ノン・トロッポ・工・モルト・マエストーゾ
  ◇第2楽章 アンダンティーノ・センプリーチェ
  ◇第3楽章 アレグロ・コン・フォーコ

チャイコフスキー交響曲第4番ヘ短調 作品36
  ◇第1楽章 アンダンテ・ソステヌートーモデラート・コン・アニマ
  ◇第2楽章 アンダンティーノ・イン・モード・ディ・カンツォーナ
  ◇第3楽章 アレグロスケルツォ
  ◇第4楽章 アレグロ・コン・フォーコ