武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 『別冊宝島1500号 長くて曲がりくねった道』(発行宝島社2008/3/7)


 76年に1号を出してから32年間に1500号を発行したのだそうだ。70年代には、マガジンとブックに間の位置するムックという出版形態自体が珍しくて新鮮だったことを覚えている。雑誌の特集にしては内容が充実しすぎているのに、なぜか書籍の形になるのを遠慮しているような軽い造りと内容がが面白くて、何冊も買ったことがある。何故か全部読み通すことはなく、積み上げた未読の書籍の山に紛れ込んでしまう不思議な本だった。
 1冊の厚さを1cmと仮定して立てて並べると1500冊では15メートル、相当に存在感のある分量となる。このブログだって1000回ぐらいは続けてみようか思って始めた程、1500号は半端な数ではありません。32年間15メートルの歩みを、まとめてみるとどんな眺めになるのか出版文化的な興味がわいてきて、この号を手に取ってみることにした。
 表紙をめくったすぐ後にあるのは、「1500号の軌跡」と題する32年間を年表形式でたどるグラビアページ、多分よく売れたであろう号の表紙を並べ、時代と平行して進んできた足跡が視覚的にわかる仕掛けになっている。世相と正面からではなく斜めから交差するような企画が多いという印象を受けた。購入したものよりも、存在自体を知らなかった号がはるかに多く、途中からすっかりご無沙汰してしまっていたことに気がついた。
 何故だろうと思って、詳しく年表と目次をたどってみた。A5で発行されていた98年までは時折買っていたのに、B5判サイズに変わってからは、ほとんど買わなくなっていたことが分かった。サイズの変更とともに編集方針も変わり、時代が求めるビジュアル化の方向がいっそう強くなった頃から、何故か「別冊宝島」から遠ざかってしまっていた。発行部数も発行の回数も飛躍的にのびたのに、どうしたことかと思い少し注意して内容をたどってみることにした。
 理由はすぐわかった。B5判のサイズになって、編集方針が大幅に変わっていたのだ。想定している読者層を何世代か若くして、編集担当のメンバーも一新したに違いない。中年以上の年齢の者が電車で読むのも恥ずかしいような若返りかたはある意味で見事なことだ。ビジネスとしてはその方が有利だったこととは思うが、チト寂しいような見捨てられたような情けない気持ちにもなった。出版物のシリーズでこれほど見事に時代とともに方向性を転換したものも珍しいのではないだろうか。そう言えば、もともと群を抜いた時代感覚と鋭い先見性が別冊宝島の取り柄だったのだから、これは当然のことと言えるのかもしてない。
 本誌の目次を引用しておこう。A5時代B5時代を統一的に分類できなかったらしく、目次のスタイルにも分裂が見られて苦笑させられた。どうも別冊宝島の編集部自体が、巨大にふくれあがった自らの過去の業績を把握し切れていないような気がするが・・・。

別冊宝鳥・時代年表1500号の軌跡
 伝説の編集者の声を聴く/別冊宝島創刊編集長石井慎二インタビュー
 創刊号『全都市カタログ』とは?
 別冊宝島が産声を上げた1976年「少年たちは本の中に今を探していた」−長薗安浩

A5スタイル「活字ムック」別冊宝島の誕生−創刊から462号までのA5判期

別冊宝島その路線の変遷①[Study]別冊宝島70〜80's/Sutudy全盛の時代/「知識マガジン」路線−永江朗
 精神世界・心理学−スピリチュアルの海を泳ぐ
 思考法・発想法−知性をトレーニングで鍛える
 ボディ/マインド−身体−いう小宇宙を感じる
 思想・社会学現代社会に挑戦する知の集大成
 アート・文学・文章論−文芸と芸術の森を歩く
 科学・宇宙論・環境問題−未来を創造するサイエンス
 生き方・働き方の選択肢−オルタナティブ・ライフを見つける
 英語・ハングル−言葉を使いこなせば世界が変わる
 歴史・民俗学−日本の深層に触れる
 発掘・お宝記事?パックナンバーを漁ると大柵インタビューがごろごろ
別冊宝島その路線の変遷②[Nonfiction]別冊宝島80〜90's/Nonfiction全盛の時代/「体験ノンフィクション路線」−大泉実成
 ノンフィクション第1弾−異国に一人たたずむ女性の声
 初の女性だけの潜入取材−性の世界で働く女性の声
 組織のウラ側−巨大組織の舞台裏を拝見
 業界のウラ側−学生・転職者に贈る虎の巻
 職業のウラ側−肩書きよりも人を見よ
別冊宝島その路線の変遷③[Nonfiction]別冊宝島80〜90's/Nonfiction全盛の時代/「アウトロー」路線−夏原武
 実録!男たちのヤクザな社会−アウトローな人々の生態
 実録!男たちの経済社会−Iマネーな人々の行動原理
 禁断の領域に潜入取材−おカルトな人々が信じる世界
 多様化する現代のメディアに潜入取材−マニアな人々の島宇宙
 発掘!お宝記事?あの作家も書いていた/別冊宝鳥B級の人生喜劇
別冊宝島その路線の変遷④[Suports&Curture]別冊宝島90's/Curture全盛の時代/「サブカルチャー」路線−下井草秀
 サブカル・ドラッグ・ストリート−世紀末カルチャーの時代
 マンガ−語りつくせぬ漫画への思い
 活字カルチャー−あらゆる小説ジャンルを深読み
 映画・AV・アニメ−映像カルチャーを変えた凄い!本
 格闘技&スポーツ−闘う者たちに捧ぐ
 競馬−物語として競馬を愛す
 ギャンブル−人生はギャンブルであり旅である
 カルチャー史−20世紀の夢を読み解く
 音楽史が書かないJポップ批評−Jホップ批評の歩み
[Home]
 医療・健康−新しい角度から医療を見据える
 暮らし・雑学−あらゆるジャンルを網羅する
 パソコン・「いっきにわかる」シリーズ−テクノロジー進化の歴史
 発掘!お宝記事?思わず飛び出る本音トークは人生のカンフル剤だ!
 活字のタブーを突きぬけろ
 『別冊宝鳥Real』という新ノンフクション路線の軌跡
 古書店に訊く、バックナンバー探索指南

 これからがB5判時代、分類して統一的に整理しにくいほど多様化が進んでいる。ここまで性格に違いがあると、最後にあるような全タイトル羅列の方法が一番すっきりするのかもしれない。それでは、ほとんど縁がなくなったB5判期の目次をどうぞ。

B5スタイル「ビジュアル・ムック」別冊宝島への跳躍−463号から1500号までのB5判期
[Study]
 読み・書き・計算の反復で脳が若返る!−脳カトレーニン
 パズルを楽しみながら脳カアップ−「ニコリのパズル」シリーズ
 ドラマチックな日本の歩み−歴史
 時代をリードした頭脳を考察−日本の偉人伝
 危ない会社を見極める−「決算書」シリーズ
 急速な市場の変化に対応−新時代ビジネス書
 ビジネスマンのための−自己啓発の名コーチ
 誰でもわかるように科学を読み解く−サイエンス
 グローバル社会のための−語学マスター法
[Nonfiction]
 食品業界の驚くべきフードマジック−「食品のカラクリ」シリーズ
 真実は禁断の領域にある−タブー史・事件史
 歴史に刻まれた強烈な個性−人物列伝
 不安を取り除くための知識−危機管理
 「国家を守る装置」の実態−軍事・警察
[Suports&Curture]
 ミクロ視点で作品を徹底解析!−アニメPERFECT BOOK
 79年放映開始から熱狂は今も続く−僕たちの好きなガンダム
 私たちの、僕たちの−「好きな」シリーズ
 発掘!お宝記事?アニメみたいにいい台詞を言える大人になろうぜ
 世界に広がるマンガ文化−現代の浮世絵マンガ
 日本・未来・宇宙のシンボル−特撮・ウルトラマン
 毎週、見逃ずわけにはいかなかった−ドラマ・映画
 80年代最大の発明−TVゲーム
 夜明けまで、語り明かそう−ブンガク
 新たな音楽宇宙への旅立ち−音楽名盤カタログ
 真剣に生きる人の姿に感動し、学ぶ−スポーツ
 ドラスティックな人間劇場−ブロレス・格闘技
 大人のロマン&一攫千金!のススメ−ギャンブル
 大学生や子どもの輝きを再現!−昭和カルチャー史
[Home]
 暮らしの中から生まれた知恵−「おばあちゃんの知恵袋」シリーズ
 本物の健康法を求めて−健康・家庭医学
 「ラクして痩せたい!」女心をガッチリつかむ−ダイエット
 理想の身体を手に入れる−休カトレーニングー
 コミュニケーション能力を高める−心理テスト・性格判断
 大儲けから小遣い稼ぎまで−投資・マネー
 憧れの我が家を!−住宅・不動産
 料理というコミュニケーションを堪能−酒・グルメ
 活字と映像で新たな旅へど誘う−旅行・風景 
 発掘!お宝記事?お酒、ペット、そして本はよき友。大事にしようぜ
別冊宝島通巻−500号全リスト