武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

「桑田佳祐Act Against AIDS 2008『昭和八十三年度ひとり紅白歌合戦』」(WOWOW12/2/19:00-22:30)


 昨晩、桑田佳祐のソロコンサートAAA2008『昭和八十三年度ひとり紅白歌合戦』をWOWOWで見た。3時間を超える何とも長いライブ番組だったので、合間に食事を挟んだり煎餅をかじったりして時々気を散らしながら、最後までつきあった。歌う方も大変だろうが、バックのバンドのみなさんやダンサーの方々はさぞ疲れたのではないだろうか。七千数百円のチケットでこれだけ楽しめるなんてコストパフォーマンスは相当に高い。体力勝負の長丁場、観客の皆さんもさぞお疲れだったことだろう。 (画像はテレビ画面を映した桑田さんが気持ちよさそうに熱唱する番組のワンシーン、汗で胸元がビッショリ)
 改めて歌手としての桑田佳祐の実力に感心した。勿論、最初から好みの選曲をしてあるので、嫌いな歌は入っていないと思うが、それにしてもどの曲を歌っても自分の持ち歌のように歌いこなしている様が見事、つい引き込まれてしまった。紅白歌合戦という通り、男性女性歌手の歌を交互に歌いついでゆくわけだが、とりわけ女性歌手の歌を歌っているときに巧さを強く感じた。
 適度に物まねをしながら、盛り上げる部分ではいつの間にか自分の歌い方にしてしまい、意外にも崩した歌い方を押さえて真面目に歌っていたので、聴いていて素直に気分良く聞けた。元の歌手に対する桑田なりの敬意が感じられて好感がもてた。
 年末恒例のNHKの看板番組を、桑田流にどのように再構成するかについても注目して見ていたが、番組の骨格を利用しながら、巧みに笑いを交えて、NHKを怒らせない程度にパロディー化したところ苦労のあとがしのばれた。所々に挟み込まれたギャグとノスタルジーの組み合わせが絶妙、何度も吹き出しそうになりながら楽しんだ。
 タイトルにあるように<昭和八十三年度>という発想がよかった。昭和に生まれ、昭和で育ち、昭和の中で歌手としての自分を確立した昭和の歌手桑田にとっては、昭和の歌を歌うということに特別の思い入れがあるのだろう。私も時代は少しずれるが昭和の子の一人なので、ほとんどの歌を知っており、ある程度は口ずさむことが出来た。こんなにうまく歌えたらカラオケにいっても楽しいだろうに、などと思ったりしながら充実した3時間を過ごさせてもらった。3時間15分、61曲の大熱演だった。最後に当日の曲目を抜き書きしたので書き出しておこう。

ひとり紅白歌合戦・全曲目
第1部[紅白ベテラン対決]
01 サン・トワ・マミー(1966)越路吹雪
02 青い山脈(1949)藤山一郎
03 コーヒー・ルンバ(1961)西田佐知子
04 上を向いてあるこう(1961)坂本九
 <桑田のトーク
第2部[GSvs恋と涙と太陽対決]
05 君だけに愛を(1968)ザ・タイガーズ
06 恋の季節(1968)ピンキーとキラーズ
07 君に会いたい(1967)ザ・ジャガーズ
08 恋のハレルヤ(1967)黛ジュン
09 ブルー・シャトー(1967)ジャッキー吉川ブルーコメッツ
10 太陽は泣いている(1968)いしだあゆみ
11 風が泣いている(1966)ザ・スパイダーズ
12 夕陽が泣いている(1966)ザ・スパイダーズ
13 真っ赤な太陽(1967)身空ひばり
第3部[フォークソング&ニュー・ミュージック対決]
14 学生街の喫茶店(1972)GARO
15 五番街のマリーへ(1973)ペドロ&カプリシャス
16 心の旅(1973)チューリップ
17 あの日にかえりたい(1975)荒井由美
18 さよならをするために(1972)ビリー・バンバン
19 シルエット・ロマンス(1981)大橋純子
20 ルビーの指輪(1981)寺尾聡
21 時代(1975)中島みゆき
 <桑田のトーク、審査員紹介、爆笑問題コント>
第4部[歌謡曲フルバン&レビュー対決]
22 いいじゃないの幸せならば(1968)佐良直美
23 さらば恋人(1971)堺正章
24 経験(1970)辺見マリ
25 空に太陽がある限り(1971)にしきのあきら
26 終着駅(1971)奥村チヨ
27 長崎は今日も雨だった(1969)内山田洋とクール・ファイブ
28 他人の関係(1973)金井克子
29 君といつまでも(1965)加山雄三
 <桑田のトーク、メンバー紹介>
第5部[クレージーキャッツザ・ピーナッツメドレー対決]
30 だまって俺について来い(1964)ハナ肇とクレージーキャッツ
31 ツーダラ節(1961)ハナ肇とクレージーキャッツ
32 ハイそれまでよ(1962)ハナ肇とクレージーキャッツ
33 ふりむかないで(1962)ザ・ピーナッツ
34 可愛い花(1959)ザ・ピーナッツ
35 情熱の花(1959)ザ・ピーナッツ
36 恋のフーガ(1967)ザ・ピーナッツ
37 恋のバカンス(1963)ザ・ピーナッツ
第6部[????]
38 LOVE LOVE LOVE(1995)DREAMS COME TRUE
39 ロビンソン(1995)スピッツ
 <応援合戦>
第7部[歌謡曲フルバン&レビュー対決Part2]
40 襟裳岬(1974)森進一
41 舟歌(1979)八代亜紀
42 SWEET MEMORIES(1983)松田聖子
43 3年目の浮気(1982)ヒロシ&ハラボー
44 いい日旅立ち(1978)山口百恵
45 現代東京奇譚(2007)桑田佳祐
46 少女A(1982)中森明菜
47 愚か者(1987)近藤真彦
48 狙いうち(1973)山本リンダ
49 情熱の嵐(1973)西城秀樹
50 渚のシンドバット(1977)ピンク・レディー
51 勝手にしやがれ(1977)沢田研二
52 キューティーハニー(2004)倖田來未
53 GOLDFINGER'99(1999)郷ひろみ
 <桑田のメッセージ、野鳥の会コント>
第8部[いよいよ大詰め!!ゆく年くる年対決]
54 時の流れに身をまかせ(1986)テレサ・テン
55 涙そうそう(2000)BEGIN
56 もらい泣き(2002)一青窈
57 タイガー&ドラゴン(2002)CRAZY KEN BAND
58 ラブ・イズ・オーヴァー(1982)欧陽菲菲
59 また逢う日まで(1971)尾崎紀世彦
60 魅せられて(1979)ジュディ・オング
61 あの鐘を鳴らすのはあなた(1972)和田アキ子
<メンバー紹介、フィナーレ>