武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 南インドツアー印象記(9)


 この日最初に行ったのは、ラックンディの村、今はインドの一寒村にすぎないが1000年前には、大きな宗教都市だったところ。9〜12世紀頃には100近い寺院と沐浴場があったというが、現在はヒンドゥ教とジャイナ教の遺跡が僅かに15カ所程度残すのみ。
 保存状態の良いカーシー・ビシュワナータ寺院と小さな博物館、村の現役のジャイナ教寺院などを見学した。

 この後、バーダーミへバスで移動、ブータナータ寺院遺跡群を観光しようとしたが、地元の子ども達が遺跡に巣を作っていた蜂の巣にいたずらをして、蜂が興奮、観光客が刺されたという珍事が発生、先にホテルにチェックインした。


 午後は、戴冠式の都と称されていたパッタダカルの寺院群の見学。ここは7〜8世紀頃に栄えた前期チャルキア朝の遺跡、建築様式で言うと北方型と南方型の両方が同居しているという。たくさんの寺院群を毎日見てきたせいか、それとも40℃近い暑さのせいか、集中力が続かず何を見てもぼんやり状態、壁面の石の彫刻など素晴らしいものを目の当たりにしているのに、印象が焦点を結ばず惜しいことをした。
 僅かに気付いたことだが、寺院の装飾には、スコールが降ってきた際の大量の雨水の水はけを意識して繊細な水路が作ってあった。短時間の土砂降りの後、俄に晴れ上がって日が射してきた時、流れ落ちる水流がどんな模様を描くのか、それだけは是非にも見てみたかった。

 そこを観光した後、蜂騒ぎで後回しにしたバーダーミの遺跡に戻り、石窟寺院群を観光しようとしたが、あいにくまだ蜂騒動は終熄しておらず、岩山の裾にある第1窟と第2窟を見て、のんびり貯水池の周りを散策して宿にもどった。 (左の画像は石窟からバーダーミの村を見下ろした風景、下の画像は石窟の柱のレリーフ

 この夜、デカン高原は熱帯夜、部屋のエアコンを使おうとすると突然の故障、フロントに修理を頼むが、5分待ってくれが10分待ってくれになり、さらに何とかしてくれと文句を言うと外に脚立を持ち出して何かしているそぶりはするものの20分待ってくれといったきり、フロントから人が誰も居なくなり万事休す、結局この夜は部屋の扇風機を回しっぱなしにしてやっと寝た。<インド人は理系に強い>というのは、田舎ではあやしいことが分かった(苦笑)。