武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 10月第3週に手にした本(17〜23)


*情けないことに書庫にあることを忘れて同じ本を買ったり、読んだことすら忘れたりするようになってきた。読んだり読みかけたりした本を備忘録としてメモ、週1で更新していきます。
小島政二郎著『北落師門』(中央公論社1971/12)*魯山人に伝記の執筆を依頼されたことを切っ掛けに書かれた小説魯山人小島政二郎の自由な脚色を楽しむ小説、実に達者の作者である。
ジャック・プレヴェール著高畠勲訳および注解『Paloles―ことばたち』(ぴあ2004/10)*スタジオジブリの名プロデューサ高畠勲氏の翻訳が素晴らしい。プレヴェールの名詩集が初めて全訳されて、日本語で読めるようになった。別冊の注解付き、フランス流の粋をたっぷり味わえる。(右の画像は裏表紙)
三遊亭円朝興津要篇『明治文学全集10三遊亭円朝』(筑摩書房1965/6)*幕末から明治の天才落語家、三遊亭円朝の落語の速記録集、当時の新聞に新聞小説のように連載され好評を博した名作集。本文レイアウトがタイトで大変に読み辛く、別バージョンの文庫を読むことにした。
三遊亭円朝著『怪談牡丹灯籠、怪談乳房榎』(ちくま文庫1998/8)*上記の内容と比べると、一部漢字をかな書きに改めてあるほかは、一字一句同じテキストを使用している。息の長い人だったのか、長いセンテンスの運び方が実に見事、是非ライブで聴きたかった。
◎森乾『父・金子光晴伝―夜の果てへの旅』(書肆山田2002/5)*金子光晴の孫娘である夏芽さんの前書き、金子光晴の長男である故森乾氏が書きためた父金子光晴の評伝。詩人金子光晴の実像に近寄りたい人には必読の書。肉親ならではのエピソードにより偉大な詩人が等身大で蘇る。
◎山口輝久編『エーデルワイス・シリーズ①山への愛と思索』(角川書店1968/5)*今から40年以上前の登山シリーズ、これは山を巡る随想集、文体が至極のんびりしていて教養主義的な自然観が無条件に肯定されていた半世紀前のの雰囲気が懐かしい。写真も文章もゆったりしていて、過ぎ去った古き良き時代の香りがする。
小島政二郎著『小説葛飾北斎』(旺文社文庫1979/3)*小島政二郎の年譜を捜してこの本に行き着いた。小説の方は既読だったが、年譜で確認したいことがあったので、pdfでコピーしておいた。忘れられた作家を辿るのは大変だ。旺文社文庫にはよく作家の年譜が付いていた。コストが嵩むだろうによくやっていた、廃刊になったのが残念。
谷川俊太郎著『二十億光年の孤独』(東京創元社現代日本名詩集大成11/1960/9)*何度読んでも凄い詩集だ、世紀をまたいで60年近く一線で活躍する大詩人の語法と発想の雛形が目白押し、谷川俊太郎はここから成長してきたことがしみじみ分かる。
村松梢風著『本朝画人伝 巻一、巻五』(中公文庫1976/8)*元禄から幕末、明治にかけての本邦画人伝集、中公文庫では全八巻ある、二巻だけに目を通してみたが惜しむらくは年譜がない。村松梢風の文章で画家たちの生涯のエピソードを楽しむ読み物、画像が一切省かれているのは潔くて良かった。ジョルジョ ヴァザーリルネサンス画人伝を思い出した。