武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 9月第4週に手にした本(9/23〜9/29)

*良い季節になってきた。都心のホテルに連泊して、海外旅行で知り合ったご夫婦のお宅を表敬訪問してきた。生活の隅々にまで、創意工夫を張り巡らした暮らしぶりに感嘆、愉しい時間を過ごさせて貰った。路地ひとつ入り込んだ都心の住宅街の、何とも静かだったこと。都内では、場所によってひっそりと高齢化と過疎化が進行している所があることに吃驚。

京極夏彦著『巷説百物語』(角川書店1999/8)*江戸時代を背景にした妖怪譚が7編、この著者の長大な長編もさることながら、語り口の鮮やかな短編がすばらしい。古書店の廉価本コーナーで見つけた掘り出しもの。濃厚な読み味なので、一遍ずつ日を改めて愉しんでいる。

サルトル著/平井啓之・海老坂武・鈴木道彦・蓮實重彦訳『家の馬鹿息子1』(人文書院1982/2)*いつの間にかサルトルの著作から遠ざかっていたが、最近ふとしたきっかけから少しずつてにとるようになった。この本はサルトル66歳晩年の評伝大作、フランス近代成長期を文学の祖、フローベールの克明な人物に焦点を当てた評伝、幼児期からをの成長を、文章で生き直すかのような克明な分析の情熱が凄まじい。一人の人間に、時代のすべてが反映するという持論を、実証しようという野望が秘められているような気がする。この巻だけで700ページを超える大冊。

サルトル著/竹内芳郎矢内原伊作訳『弁証法的理性批判1』(人文書院1962/11)*ネットで本探しができるようになったので、今ではすっかり忘れられた、こんな本でも手にすることができる。政治音痴の著者が、戦後世界の政治の季節のなかで、必死に政治の原理論を確立しようと、あがいていた頃の未完の大作。若い頃手にして、さっぱり分からなくて投げ出してしまったものを再び手にとってみた。さてどうなることやら。

◎角川浩著『独立太陽光発電と家庭蓄電』(パワー社2011/10)*このところ家庭内でのソーラー発電の手作りに嵌っているので、参考にと手にした。独立型も、発電量と蓄電量を増やしていくと、スケールが増殖しはじめて、だんだん厄介なことになってくる。太陽光の入門期からその先への移行期にいる方の参考になりそう。