武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 新たな生活空間の構築(28)


《招かれざる客イノシシその後》

現住所での用事に追われて山荘を空ける日数が増えるてしまい
久しぶりに山荘に行ってみるとかなり季節がすすんでいた。
日当たりがいいので平地の紅葉に追い越されてしまい
取り残されたみたいだった雑木林にもようやく晩秋が来て
朝日や夕日に照らされた錦秋に目を瞠った。


気をよくして敷地内を隈なく歩き回っていたら
新たなイノシシの穴を見つけた。
十箇所以上の新しい穴のほとんどは
食料を探して球根や根っ子を掘り起こした跡だが
二箇所、人間の大人が潜れそうなほど大きなのがあった。
山芋や葛などの塊根などを掘るためにしては大きすぎる、
触ってみると何だかフカフカしている。
大きなイノシシの穴についてネットで調べてみたら
どうやらイノシシのねぐららしいと分かった。
(右上の画像はイノシシのねぐららしい大穴)


人気がなくて周囲から隔絶している環境なので
隠れ家として気に入られたのかもしれない。
二つのねぐらは少し様子が違っていて
一つは何かから身を隠す隠れ家風、
もう一つは、気分よく時を過ごせる滞在型と言えばいいか、
留守にした間、我が物顔で好き放題に過ごしていた様子だ。



この他にもう一箇所、宅地わきの敷石が掘り起こされていた。
道具がなければ動かせないような重い敷石を動かして何を捜したのだろう。
ネットで調べたら、墓地の墓石を堀り起こして
下にいる好物のミミズを探した事例があるらしい。
敷石の下に生きたたんぱく質を探したのかもしれない。
とにかく、無人の雑木林のあちこちを探し回ったらしく
至る所に新に小さな穴大きな穴がいくつも掘ってある。
(右下の画像は身をかくす隠れ家らしい深い大穴)


ニュースなどでは今年は山間部の木の実をつける樹々が不作のようで
人里に熊や鹿などが出没する恐れがあると報道していたが
イノシシの食べ物も同様に不作なのかもしてない。
前の所有者からイノシシに悩まされたという話は聞いていないので、
もしかすると今年だけの特例なのかもしれない。
近くで見るようになったイノシシ注意の立て看板も
最近になって立てられた新しいものばかり。


斜面に掘られた大きな穴は土壌流失の端緒となりかねないので
苦労して掘ったイノシシには申し訳ないがスコップで埋め戻させてもらった。
大量の土が周囲に掘り起こしてあり埋め戻すのも楽ではない。
相当に用心深い個体らしく一度も遭遇したことはない。
出会いがしらの対面だけはご遠慮願いたいものである。
猫がこじ開けたドアを閉めてゆかないように
イノシシも掘った穴を元通り埋め戻してはくれない。
周辺の農地にはイノシシ対策の電流防護柵が増えてきた。
行き場を失ったイノシシには、そろそろ山へ戻ってもらいたいのだが。