武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 新たな生活空間の構築(30)


《視聴覚空間の愉しみ》


絵画の鑑賞と音楽鑑賞は長年続いている私の愉しみ、
そのために海外旅行や展覧会にもずいぶん出かけたし
コンサートやレコード屋、CDショップにも足しげく通いもした。
子どもの頃から映画も大好きだったけれど
それでもマニアと言えるほど どれにも熱中しきれてはいない。
いずれも、ほどほどに愉しんできた中途半端な
<暇潰し>以上で<マニア>以下のささやかな趣味。


それらの趣味は当然、山荘においても愉しみたい。
そこで、一番大きな部屋を趣味の部屋にして
オーディオルーム&シアターにして視聴覚室として使うことにした。
以前に自作スピーカに嵌った頃の古い生き残りのスピーカーを持ち込み
マンションの部屋では使いこなせない古い大型スピーカーも運び込んだ。
録画しておいた映画やドキュメンタリーのソフトも多いので
120インチのスクリーンを設置してプロジェクターも買った。
(画像は120インチスクリーンと古いスピーカーなど)


周りの壁には若い頃、毎月1枚ずつ買って愉しんできた
LPレコードをジャケットごと貼り付けてインテリアにした。
ミュージシャンの顔をデザインに使った洒落たLPを飾ってみた。
モダンジャズを中心に歌謡曲からクラシックまで
重さがあり置き場所に困っていたレコードも
収まるべきと所に落ち着いた感じがする。
LP専用ラックは自作した。


気候の良い頃の夜更け
大画面大音量で周囲に気兼ねせずに再生していると、
自分が今、どこにいるのかうっかり忘れてしまう瞬間がある。
ほぼ29平米ある空間で交響曲やミサ曲などを再生していると
再生装置の実力以上の効果があり奥行きのある音響空間が広がる。


山荘を手に入れて何が良かったかと言えば
ほどほどに広い視聴覚室が作れたこと、
音と粉塵を撒き散らす工作が気兼ねなくできる
専用の工作室が出来たこと、
人の眼を意識せずに愉しめる雑木林に囲まれて
朗らかな気分で滞在できる空間ができたことである。
おかげで閉塞しがちな老後の人生に
開放感のあるささやかな愉しみが加わった。