武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 新たな生活空間の構築(43)


《野生の訪問者クロちゃん》

最近一日に何度か野良猫のクロちゃんが来るようになって
ご近所の飼い猫たちの足が遠のいてしまったのがチトさびしい。
もしかしたら、クロちゃんが山荘の周囲に自分の
縄張りの匂い付けをしたからかもしれない。
以前にも書いたように近所の猫たちは
無用の争いごとを避ける平和主義者が多く
君子危うきに近寄らずの回避行動をとっているのかもしれない。
(画像は食事の後、くつろいで敷地の様子を見回しているクロちゃんの後姿、背中に野良の存在感がある)


クロちゃんとの付き合いが増えるにつれて
面白いキャラクターの持ち主であることが分かってきた。
最初は、食べ物なら何をあげても待ってましたとばかり
ハグハグ食べて余り物だろうが残り物だろうが
すべて食べつくしてしまうので
山荘ででる生ゴミが限りなく減ってしまったのだけれど、
次第にグルメ志向というか高級好みというか
偏食傾向が顕著になってきて食べ残すものが出てきた。


しかしながら、やはり野良生活から抜けられないらしく
残した物もそのまま置いておくと
いつの間にか空になっているので
つかの間の偏食も空腹には勝てないらしい。
空腹は最高の調味料という警句を聞いたことがあるが
そっくり野良猫クロちゃんにもあてはまるようだ。


これは推測だが、クロちゃんはそれほど遠くない場所に
宿泊場所としての野良猫ホテルと
食事場所としての野良猫レストランを
何箇所か確保しているに違いない。
ピリピリするような警戒心と用心深さをサバイバル術として身にまとい
地域をゆったりと巡回して歩いている姿を見かけることがある。


雑木林に咲く野草にも、野草としての栄枯盛衰あり
観察していると少しずつ見え隠れして愉しみだけれど、
クロちゃんには動物としての刻一刻表情を変える反応があり
植物とは違う生き物としての躍動感に満ちていて
こちらの気持ちにダイレクトに入り込んでくる勢いがある。
都合で何日も山荘に行けない日が続くと
どうしているかなと何となく気がかりになってくるから不思議である。