武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 岩合光昭写真展(美しき地球に息づくものたち)印象記

 一昨日、近くで動物写真家の岩合光昭さんの写真展をやっているので、見に行ってきた。日程の終了間際、しかも週日の昼間だったせいか会場は空いていて、ゆっくり鑑賞できた。 (画像は、入場券の半分に印刷してあったホッキョクグマのお花畑でくつろぐ一瞬、クマさんの表情が素晴らしい)
 世界各地で撮影した動物の写真が100点ほどだろうか、ゆとりを持って展示してあり、気持のいい写真展だった。
 岩合さんの動物写真を見ていつも思うことだが、不思議なことに岩合さんの写真の動物には、何とも言えない表情がある。例えば、星野道夫の動物写真と比べてみるとよく分かるが、星野さんの写真には、自然に生きる動物たちの圧倒的な存在感があった。周囲の雄大な景色と一体となった迫力が迫ってきた。星野さんは、自然と一緒に動物を切り取る写真家だった。
 岩合さんは、動物の表情を狙っているのではないだろうか。家族を写すときは、動物家族の表情を狙っているような気がしてならない。動物の全身や躍動感よりも、動物の顔を写している。顔は動物にとっても心の窓であり、心理状態が現れたのが表情。岩合さんが写しているのは、動物たちのポートレイトだという印象を受けた。ひょっとしたら岩合さんは動物の心を写し取りたいのかもしれない。
 何故だかわからないが、岩合さんの写真の動物たちは、皆とても良い表情をしている。被写体になった動物たちに見せても、納得して喜んでくれそうな気がするほど、よく撮れている。だから、写真を見てゆくと、こちらの気持ちが癒され和んでくる。
 最後に撮影風景の写真があったが、大きな望遠レンズを使っているとばかり思っていたのに、すぐそばまで接近して、標準レンズを使って写していたのには驚いた。しかも、動物が緊張していない。これは、凄いことだ。不思議なことに、片方が緊張していると、緊張感は相手に伝染してしまう。相手の緊張を取り去るのは、人を写すときの基本中の基本、動物相手にこれができるのは、サスガ。きっと命がけの行動を繰り返すことによって身につけた技術なのだろう、という気がした。
 調べてみたら、岩合さんの公認ホームページが、ネットにあった。会場にあった作品もアップされている、美しいサイトなので興味のある方は、以下のURLをクリックしてみてほしい。惜しげもなく数多くの傑作を公開しているので是非みてほしい。何百枚もあります。凄い。
http://www.digitaliwago.com/gallery/index.html