武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 12月第3週に手にした本(12〜18)


*情けないことに書庫にあることを忘れて同じ本を買ったり、読んだことすら忘れて図書館に予約したりするようになってきた。読んだり読みかけたりした本を備忘録としてメモ、週1で更新していきます。今週は、間にベトナム旅行が入ったのであまり読めなかった。
湯川豊著『イワナの夏』(ちくま文庫1991/5)*野外活動は大好きだが魚釣りはしない、だが、釣り紀行文は読む。本書は美しい文体で綴られた釣りの随想録。何よりも文章が素晴らしい。
湯川豊著『夜明けの森、夕暮れの谷』(マガジンハウス2005/7)*「イワナの夏」に続く2冊目の釣り随想集、間が18年も空いている。今読む人は、長く待つことなく2冊同時に読めると言う幸せを味わうことが出来る。一篇一篇に凝らされている表現の趣向に、一つとして同じ物がなくその工夫に感心した。随想のスタイリストである。
◎『地球の歩き方2010〜2011年版―ベトナム』(ダイアモンド社2010/7)*ベトナム旅行のために入手、慣れているせいか見やすく使いやすい海外旅行の定番ガイドブック。
◎『ロンリープラネットの自由旅行ガイド―ベトナム』(メディアファクトリー2003/10)*多くのバックパッカー愛用の自由旅行ガイド日本語版、説明が詳しいことと、欧米的なツーリストマインドが記述の随所に滲んでいて、にやりナルホドと感じる部分が多く、読み物としても楽しめる。宿の案内が低予算、中級、高級と明確に区別されている。安易に画像を多用していない編集方針が嬉しい。
村上春樹著/和田誠絵『ポートレイト・イン・ジャズ』(新潮文庫2004/2)*和田誠のイラストに村上春樹が短文を添えた絵付きショートエッセイ集、55人のジャズミュージシャンを55通りに描き分ける村上春樹の多彩な文章術が読みどころ。バタ臭い比喩の使い回しが嫌いでなければ、55回楽しめる、団塊世代の大人のジャズ感想文集。趣味もここまでくれば立派、脱帽である。