武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 12月第2週に手にした本(5〜11)

*情けないことに書庫にあることを忘れて同じ本を買ったり、読んだことすら忘れて図書館に予約を入れたりするようになってきた。読んだり読みかけたりした本を備忘録としてメモ、週1で更新しています。(今週もたくさんの本を手にしたが全部読了できたわけではありません。)

◎ジョン・ダニング著/横山啓明訳『災いの古書』(ハヤカワ文庫2007/7)*この著者の古書蘊蓄ミステリィ・シリーズの4冊目、古書をめぐる収集家達と古書店主達の世界を背景にした物語、警察官崩れの古書店主が主人公となって、稀覯本にからむ殺人事件に挑むのは毎回同じ、今回はサイン本の世界が題材、4冊目ともなるとややマンネリの感が拭えないが、探偵役の動きに引きずられて何とか最後まで読んだ、このシリーズも終わりにしたほうがいいのかもしれない。
◎大森澄著『大森澄詩集』(宝文館出版1984/1)*元巡査だった人の異色の人情味溢れる抒情詩集、ブックレビューにUP済み。
◎田中冬二著『田中冬二詩集』(思潮社/現代詩文庫1988/6)*生涯、銀行員であり続けた抒情詩人田中冬二の作品集、今読むといささか抒情の質が古い、著者の時代と比べて自然も自然観も様変わりしたせいだろう。
森博嗣著『冷たい密室と博士たち』(講談社文庫1999/3)*森ミステリィの再読、シリーズ2作目にあたる本格推理もの、1作目ほどの衝撃力はないものの、複雑なパズルを組み立ててゆくような読み味は変わらない。気に入っている作家ほど、まとめて読むと飽きてしまうので、気を付けなければ、1ヶ月3冊以内に抑えておこう。
◎おくやまひさし著『学校のまわりの草木図鑑/冬』(大日本図書1996/3)*この図鑑は以前に紹介したことがあるので改めて、冬の野外活動を愉しむための貴重な学習図鑑である。ほとんどの図鑑は冬の内容が寂しいか、冬の巻がない場合が多い。本書は花が少ない冬場の草木に対して、視点を変えて、草木の冬の過ごし方、ロゼットや冬芽、葉を落とした樹形、実や種に焦点をあてて、冬でも身近な自然を観察して愉しむ術を教えてくれる良書である。花が少ないことを嘆く必要がないことを示唆してくれて有り難い。