武蔵野日和下駄

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 NASAの彗星探査機の子機、彗星の核への衝突に成功の報道に触発されて(写真は世界中に配信された衝撃的な映像の1枚)

toumeioj32005-07-07

 新聞報道によれば、すい星探査機「ディープ・インパクト」から放出された衝撃弾(インパクター)が、日本時間の7月4日午後2時50分過ぎ、地球から約1億3000万キロの距離でテンペル第1彗星の核に命中したという。宇宙規模の壮大な科学実験の成功のニュースと一緒に提供された鮮明で衝撃的な映像が、地球上の何億という人々の関心を引いたのではないかと思う。私もその一人だった。
 すい星探査機「ディープ・インパクト」は、今年の1月12日に打ち上げられ、半年近くをかけて宇宙空間約4億3000万キロを飛行、約5.5年周期で太陽を周回しているテンペル第1彗星に同探査機から発射された子機を、地球から約1億3000万キロの地点で、縦14キロ、横4.6キロの大きさの核に時速3万7000キロで激突させたという。
 この快挙に対して、モスクワから奇妙な冗談のようなニュースが入ってきた。なんと、ロシアの女性占い師が、衝突の衝撃によって彗星の軌道が変わり人類に大きな被害を与えるとして、NASAに計画を中止するよう求める訴えを起こしていたという。NASAの計画が成功した今、占い師のマリナ・ベイさんは、占いに使うホロスコープ(天宮図)が変化して仕事に障害が出るほか、人類への大きな損害も懸念されるとして、約3億ドル(約355億円)の損害賠償を求める訴えを起こしているという話。面白い人がいるものだと驚き呆れた。
 ところで呆れるついでに、チト気になってきたことがある。NASAと言えばアメリカ航空宇宙局アメリカといえば現在の地球上における大国の中では唯一の積極的な戦争国家、しかも現在もよその国に出かけてまで戦争を継続している好戦的な国家。このディープインパクト計画の成功とその地球規模における宣伝効果を、軍事的に評価し直すとどうなるか。超高速で飛行する彗星と半年前に打ち上げた飛行物体を1億3000万キロかなたの宇宙空間で衝突させる技術、これを軍事技術として評価し直すと、恐るべき脅威としてとらえ返せないか。私がアメリカにたてつく政治家なら、肝を冷やして今後の言葉遣いに少しは気をつけるようになるに違いない。
 モスクワの占い師の話から、こんな感想がふとわいてきた。、驚異的なこの技術、是非、平和な宇宙観測の範囲にとどめといてほしいと思った。