武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 今年のミステリー小説ベスト10

 朝日新聞の今日の文化欄に、「ミステリー小説 主なベスト10」と題する記事が載っていた。代表的な4つのベスト10の特徴を紹介しながら、ジャンルとしてのミステリーの売れ行き不振傾向と、作家と作品の多様化を最近の特徴として締めくくる内容だった。
 ネット上で探してみると、ミステリー好きのベスト10マニアがいて、過去のデータをアップしてくれているサイトがあった。
<宝島社 「このミステリーがすごい!」1988年〜2009年度版ベスト10一覧リスト>と題するサイトhttp://dvd.or.tv/Bookstore_Konomisu.html
<『週刊文春 傑作ミステリーベスト10』ランクイン作品一覧>と題するサイトhttp://www5a.biglobe.ne.jp/~t-konno/bunshun.htm
参考になって大変に有り難かった。ざっと眺めると、ミステリーにも時代の雰囲気というか世相を反映する傾向があるような気がした。歌謡曲の流行は色濃く時代を反映すると言われているが、人気商品のミステリーにも同じことが言えそうで、ミステリーベスト10の変遷も楽しい。
 今年のベスト10には、まだ読んでいない本が多いので、図書館で借りようとしたが、さすが人気作品、どの本も予約が集中していて、借りられるのは何ヶ月か先になりそうな気配、昔、人気作家のある新作には貸本屋でも順番待ちがあったことを思い出した。
 新刊紹介のルールに、発行から2ヶ月以内の作品を<新刊本>とするルールがあるという話を耳にしたことがある。次々と新しい面白そうな本が誕生し、次々と古くなって忘れられてゆく、この出版物の奔流。ベスト10の背後に一体どれほどの浮かび上がることのなかったミステリーが累積していることだろうか。
 今日の記事を眺めたりしながら、奇妙な感慨がわき上がってきた。最後に、紹介されていた今年のベスト10を引用しておこう。

このミステリーがすごい!」2008BEST10国内編(07年11月〜08年10月)
ゴールデンスランバー伊坂幸太郎、新潮社)
ジョーカー・ゲーム柳広司角川書店
③完全恋愛(牧薩次、マガジンハウス)
④告白(湊かなえ双葉社
新世界より貴志祐介講談社/上・下)
カラスの親指道尾秀介講談社
⑦黒百合(多島斗志之東京創元社
⑧山魔の如き嗤うもの(三津田信三原書房
ディスコ探偵水曜日舞城王太郎、新潮社/上・下)
⑩ラットマン(道尾秀介、光文社)

週刊文春」2008ミステリーベスト10国内部門
①告白
ゴールデンスランバー
ジョーカー・ゲーム
④ラットマン
⑤聖女の救済(東野圭吾文芸春秋
⑥完全恋愛
⑦山魔の如き嗤うもの
⑧黒百合
新世界より
カラスの親指

「ミステリが読みたい!」ベスト・ミステリ2008(日本部門07年10月〜08年9月)
ゴールデンスランバー
②山魔の如き嗤うもの
③告白
カラスの親指
⑤おそろし(宮部みゆき角川書店
⑥ラットマン
⑦相棒(五十嵐貴久、PHP研究所)
ジョーカー・ゲーム
もう誘拐なんてしない東川篤哉文芸春秋
ディスコ探偵水曜日

トーハン年間ベストセラー行本・文芸(07年12月〜08年11月)
流星の絆東野圭吾講談社
②聖女の救済
ガリレオの苦悩(東野圭吾文芸春秋
犬と私の10の約束川口晴文芸春秋
のぼうの城(和田竜、小学館
L change the WorLd(M、集英社
食堂かたつむり(小川糸、ポプラ社
ゴールデンスランバー
⑨私の男(桜庭一樹文芸春秋
⑩おそろし