武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 雑木林の不思議なキノコ(フクロツチガキ)


くぬぎ山と呼ばれている雑木林の一角を、仲間と一緒になって、手入れしている。武蔵野に今なお残るクヌギやコナラなどの落葉樹の里山である。化石燃料が普及するまでは、身近な薪炭林として農家が大切にしてきた林ではあるが、今は固定資産税がかかるばかりの使い道のない林となってしまっているのが実情。
その荒廃している林の下草や針葉樹を刈り取り、地上まで日光が届くように地上をきれいにして、雑木林本来の生物多様性の手助けをするのが私たちのねらい。今取り組んでいる林は、既に3年目、春先の芽生え、芽吹きの季節になると、手入れの成果が実感できる。
今日、その林に散らばっている枯れ木や枯れ枝を片付けていたら、不思議な形をしたキノコを見つけた。小さな群落を作って、いくつも愛らしい顔を覗かせていた。調べてみたらフクロツチガキという名前だと言うことが分かった。漢字で書くと<袋土柿>、柿の実のヘタに似た形をしているかららしい。
真ん中から胞子を吹き出すと書いてあった。胞子を吐き出すところを見てみたい気がした。形は愛らしいが食べられないとあるが、特に毒性があるわけでもなさそう、でも、これを好んで食べる人はいないだろう。持ち上げると独立した個体みたいに何の抵抗もなく地面から離れる。開いたら地下の菌糸と縁が切れてしまうらしい。不思議な生態のキノコだ。



形の違うのがあったので、開くまでの時間の経過を予測して、画像を並べてみた。じっくり見ていると、こんな順番で開くのではないだろうか。武蔵野の雑木林には、時折、予想もしていなかった面白い出会いがある。