武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 Magnatune(マグナチューン)と言う名の音楽配信サイト

 不覚にも最近まで全く知らなかったこと、06年頃にスタートしたカリフォルニアの新しい音楽配信サイト、Magnatuneが非常に面白い。かつて、Googleが新しい検索サイトとして登場した時、こんなにも優秀な機能が何で無料で提供できるのか、不思議に思ったが、しっかりと計算されたビジネス戦略が背後にあると言うことが次第に分かって、賢いと感心した。
 このMagnatuneが新しい音楽配信のビジネスモデルに発展するかどうか、今後の動向を見なければ分からないが、非常に面白い音楽ビジネスのアイディアだと思う。私が面白いと感心したところを箇条書きにして列挙してみよう。
 (1)楽曲のストリーミング再生を完全に無料にしたこと。曲全部でもアルバム全部でも、とにかくファイルをダウンロードしないで試聴する場合をすべて無料としたことは画期的。しかも聴く側の再生に専用のソフトは不要、たいていの音楽ソフトで再生できる。音質も悪くはない。既存の多くの音楽配信サイトは、初めの数十秒〜数分しか視聴できないが、全曲視聴できるとは、何とも凄い。全部聴いてみて、気に入ったら、買ってくださいという考え方が、素晴らしい。気に入ったものは、繰り返し聴くことになる音楽の特性を踏まえた新しい売り方。
 (2)ミュージシャンとの契約の仕方が、面白い。儲けをミュージシャンとサイト側とで折半するというやり方がわかりやすい。ネットを軸にしたビジネスでは、販売に必要なコストを極限にまで縮小できるので、コストに胡坐をかいて儲けをせしめる輩を排除、こう言うシンプルなビジネスが可能になるのだろう。500人を越えた参加ミュージシャンが、どんどん増えてゆくのも頷ける。クラシックなどのマイナーなジャンルのミュージシャンにとって、メジャーの外で発表と収入の道が開けるのは、相当に有難いことに違いない。
 (3)サイトのデザインが非常にシンプル、これもいい。英語だけのサイトだが、英語が苦手な私にも、どこをどうすれば何ができるか、とてもわかりやすい。シンプルなので、分かってしまえば、使い方は迷いようがない。たくさんのいろいろな人に利用してもらうには、このやり方はいい。直感的に分かりやすいと褒めておきたい。
 (4)配信方法の新しさ、サイトデザインの優秀さ、利用者の使い勝手の良さ、他にも長所は沢山あるが、一番問題なのは、こんなことをして本当に儲かってやっていけるのかというところ、この点については、相当に苦しいらしいという噂があるとだけ言っておこう。個人的には、頑張ってほし、存続してほしいと願っているのだが。
 さて、興味がわいてきた方は、さっそくMagnatune(マグナチューン)のサイトに行ってみてほしい。あちこち触って無料で曲を試聴してみても、決して無駄にはならないと思う。興味のある方は、次のURLをクリックすれば、すぐに行けます。
http://www.magnatune.com/