武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 退職者の日々、第2段階へ(3)

 リゾートマンションをチェックしていた頃、レンタルのトランクルームやレンタルスペースなども一応検討してみた。でも、いずれも安価で手ごろではあるが、収納した本が死蔵になってしまうのは眼に見えているので、検討しただけでそれらは断念した。

 それでは、リゾート地にある中古別荘はどうだろう。これも実際に、数件内覧にいってきた。しかし、別荘を購入する目的は、多くの場合趣味や遊び心を満たすため。その中古物件を買おうとすると、建てた売主の考え方や趣味が前面に出ていて、持ち主だった人の気持ちは良く分かるものの、買うとなるともてあましてしまうのは間違いない。

 また、別荘地特有の維持費として、固定資産税のほかに管理費等が必要なのは、リゾートマンションと同じ、温泉付などとなると管理費はさらにはね上がる。蔵書の保管庫にして、第二の人生のベースキャンプとしてふさわしくないという結論になってしまった。それに、趣味のためか、かけた費用が大きかったためか、公平にみて不動産の価値よりも販売価格が高すぎるケースが多いような気がした。流動性の低い商品なのに、吃驚するほど高く、中には管理状態も悪く、このままでは永遠に売れないのではと心配になるものにも出会った。

 というような次第で、探し始めて2ヶ月たっても、なかなか焦点が絞り込めず、一日に数件の中古物件を見て回るようになった。

 中古の不動産には、以前の持ち主だった方の生き方というか暮らしぶりというか、人生の影が微妙に残っており、周辺の環境を含めて、実際に見て回ると、興味深いことが多く、辛くはあるが楽しくもある空き家行脚だった。実に面白いエピソードに何度も出くわしたが、住まっていたご家族のプライバシーのような気がすることも多々あり、具体的に書くのは控えるべきだろう。勿論、写真も一枚も写していないので、画像をご紹介することもできないのであしからず。