武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 金子光晴編集の「面白半分」

 1970年代の雰囲気を良く伝える月刊雑誌に「面白半分」という可笑しな雑誌がかつてあった。ほぼ半年ごとに編集長を交代して、誌面の雰囲気を一新するという、斬新な編集方針を貫き、物好きな読者をけっこう楽しませてくてくれたが、70年代の終わり頃、惜しまれて姿を消した。
 たくさんの作家達が編集長をつとめ個性ある誌面を競いあった。敬愛する詩人金子光晴が編集長を担当した1974年(昭和49年)の下半期の内容を紹介したい。今から見ると、信じがたいほどの豪華メンバーが、趣味的で通常の雑誌では考えられないようなテーマを巡る、不真面目で真剣な文章や談話、対談を寄せていた。子どもからはバカにされそうな軽薄さがセールスポイントだったが、随所に苦い毒がしのばせてあって、侮りがたいところもあった。
 サブカルチャーの見逃されていた価値が、様々な形で再発見され、有り難がられはじめた頃のこと、蔵書の下から見つかって、何とも懐かしく、あっちこっちを拾い読みしてしまった。参考のために、滝田ゆうの美しい表紙と各号の目次を紹介してみよう。

月刊 面白半分 金子光晴編集 7月号


[特集 薬]
薬の話/金子光晴
毒と承知で嚥む薬/吉行淳之介
クスリは毒です/田中小実昌
変態だらけ/鈴木いづみ
クスリ―ロンリー・トリップへの入ロ/岳真也
真剣笑負(7)薬/牛坂浩二・畑田国男


面白半分電話対談(1)/三婚のすすめ/北杜夫佐藤愛子
参院選出馬のホンネ/野坂昭如
随舌―韓国の夜と霧/富山妙子
随舌―「グーン」と「ググーン」と/土屋耕一
随舌―船!船!船/!柳原良平
絵師の自我像/福地泡介上村一夫
連載詩(1)―雪の日/桜井滋人
ぼくの遊覧船(1)―プロローグ/田村隆一
わが愚なる戦後詩(第一回)/藤本義一
黄色と橙色の空一虚弱児の戦後民主主義?十六吋の自転車/小中陽太郎
連載小説(7)―ぬばたまの…/眉村卓
備忘録・行きあたりばったり(1)―女ハ女デアル/阿奈井文彦
古雑誌載録(1)―「うきよ」


日本腰巻文学大賞●今月の予選通過作品
オレにも/書かせろ●読者のページ
面白半分/告知板
編集後談/金子光晴
ないしょ話

月刊 面白半分 金子光晴編集 8月号


[特集 流行歌]
面白半分対談/遙けきかな・われらが恋歌/添田知道金子光晴
流民感覚/関根弘
昭和初期の流行歌/藤浦洸
わが「なつメロ」の記/古関裕而
謡曲女心考/山口洋子
真剣笑負(8)流行歌/牛坂浩二・畑田国男


面白半分電話対談(2)/二人はウワサの・・・/川上宗燻・田辺聖子
随舌―中国、わが青春/草野心平 
随舌―今なぜ「昭和初期」なのか/あがた森魚
随舌―バカと名のつく・・・/殿岡ハツヱ
凸凹・日本千一夜(第1夜)―しなびたお尻の話/竹川弘太郎
郭ばなし・壱―震災前夜の頃/佐藤英麿
絵師の自画像/東君平山藤章二
連載詩(2)風鈴/桜井滋人
ぼくの遊覧船(2)―美しき土地/田村隆一
わが愚なる戦後詩(第二回)/藤本義一
黄色と橙色の空一虚弱児の戦後民主主義(2)鳥なき里のこうもり/小中陽太郎
連載小説(8)―ぬばたまの…/眉村卓
備忘録・行きあたりばったり(2)―スワノセ島から来たポンの話/阿奈井文彦
古雑誌載録(2)―「うきよ」


日本腰巻文学大賞・今月の予選通過作品
オレにも/書かせろ・読者のページ
面白半分/告知板
編集後談/金子光晴
ないしょ話

月刊 面白半分 金子光晴編集 9月号


[特集 糞尿譚]
そのとき光晴すこしもさわがず/金子光晴
女のオシッコ/泉大八
しまらない話/長部日出雄
クソ死すと…/久里洋二
真剣笑負(9)糞尿譚/牛坂浩二・畑田国男


面白半分電話対談(3)破壊力学的演劇論/井上ひさし・熊倉―雄
さわやかな敗戦/野坂昭如
随舌―巴里から、今へ/森 茉莉
随舌―当世やくざ気質/飯干晃−
随舌―終末以後へ/常田富士夫
凸凹・日本千一夜・第二夜―私の愛する鬼の話/竹川弘太郎
廓ばなし・貳―苦界に沈む花電車/佐藤英磨
絵師の自我像/岡部冬彦永島慎二
連載詩(3)昼の月/桜井滋人
ぼくの遊覧船(3)ヒットラー田村隆一
わが愚かなる戦後詩(第三回)/藤本義一
黄芭と根色の空―虚弱児の戦後民主主義?焼跡に咲くスバル座/小中陽太郎
連載小説(9)ぬばたまの…/眉村卓
備忘録・行きあたりばったり(3)42時間、海のトリップ/阿奈井文彦
古雑誌載録(3)「うきよ」


日本腰巻文学大賞・今月の予選通過作品
オレにも/書かせろ・読者のページ
面白半分/告知板
編集後談/金子光晴
ないしょ話

月刊 面白半分 金子光晴編集 10月号


[特集 結婚]
わが結婚歴/川上宗薫
なぜ結婚するか/金井美恵子
結婚についてのマジメな話/平野レミ
セックスと結婚に関する一視点/松窪耕平
真剣笑負(10)結婚/牛坂浩二・畑田国男


面白半分電話対談(4)われら昭和ヒトケタ世代/五木寛之生島治郎
面白半分対談(10)寛かなれ、巴里の空/岸恵子金子光晴
随舌―当世流行 若者だまし/長尾みのる
随舌―笑いの必要十分条件/悠木千帆
随舌―われ、ホウマツと呼ばれてもなお…/佐藤三郎
凸凹・日本千一夜・第四夜/毛は魔界の贈り物/竹川弘太郎
廓ばなし・參―吉原風情/佐藤英磨
絵師の自我像/灘本唯人・黒由征太郎
連載詩(4)プリズン・オン・エア/桜井滋人
備忘録・行きあたりばったり(4)「どうぞ、読んでください」/阿奈井文彦
ぼくの遊覧船(4)蛇口がズラっとならんでいる/田村隆一
わが愚かなる戦後詩(第四回)/藤本義一
黄色と桧色の空一虚弱児の戦後民主主義(4)われらの時代の服/小中陽太郎
連載小説(10)ぬばたまの…/眉村卓
古雑誌載録(4)「うきよ」


日本腰巻文学大賞・今月の予選通過作品
オレにも/書かせろ・読者のページ
面白半分/告知板
編集後談/金子光晴
ないしょ話

月刊 面白半分 金子光晴編集 11月号


[特集 嘘]
この号の編集にあたってとりどり/金子光晴
うそについて/森乾
二匹目の泥鱒「うそ」を論ず/平岡正明
うそと法螺/筒井康隆
男の嘘・女の嘘/青木雨彦
面白十二分嘘事典/長谷邦央
真剣笑負(10)嘘/牛坂浩二・畑田国男


面白半分電話対談(5)ものぐさ太郎の意識革命/佐野洋結城昌治
随舌―欲張りと恥ずかしさと/宮城まり子
随舌―私の中の「朝鮮」/青地晨
随舌―もう、どうでもよろしいわ……/富岡多恵子
凸凹・日本千一夜・第四夜/のぞきの美学/竹川弘太郎
絵師の自我像/成瀬国晴・杉村篤
連載詩(5)遅日 テルちやん/桜井滋人
ぼくの遊覧船(5)ショボショボ/田村隆一
わが愚かなる戦後詩(第五回)/藤本義一
黄色と祖色の空一虚弱児の戦後民主主義/君はマッカーサーを見たか/小中陽太郎
連載小説(11)ぬばたまの・・・/眉村卓
備忘録・行きあたりばったり(5)「雲ながるる果て」には?/阿奈井文彦
古雑誌再読(5)「うきよ」


日本腰巻文学大賞・今月の予選通過作品
オレにも/書かせろ・読者のページ
面白半分/告知板
編集後談/金子光晴
ないしょ話

月刊 面白半分 金子光晴編集 12月号


[特集 蒲団]
蒲団の情景/中山あい子
夜具今昔/早乙女貢
肉蒲団の話/駒田信二
フトン文化とベッド文化/丸山邦男
夜具の敷初め/関根弘
お蒲団までの距離/鹿追義彦
真剣笑負・最終回蒲団/牛坂浩二・畑田国男


凸凹・日本千一夜・最終夜/師走・ねんねこ・演歌馬鹿/竹川弘太郎
廓ばなし・最終回/桜挑梅梨/佐藤英麿
絵師の自我像/つげ忠男林静一
備忘録・行きあたりばったり・最終回/喫茶店の話/阿奈井文彦
連載詩・最終回/死んだ男たちの四季/桜井滋人
ばくの遊覧船・最終回/遂に出航せず/田村隆一
わが愚かなる戦後詩(第六回)/藤本義一
黄色と祖色の空一虚弱児の戦後民土土義/ラジオはただの過去にすぎないか/小中陽太郎
連載小説・最終回/ぬばたまの・・・/眉村 卓
古雑誌再読・最終回/「うきよ」


日本腰巻文学大賞・今月の予選通過作品
オレにも/書かせろ・読者のページ
面白半分/告知板
編集後談/金子光晴
ないしょ話