武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 朝のワンプレート(29)

 《オードブルもどき朝食》
 Wikipediaによれば、オードブルとは「フルコースでスープの前に出される最初の料理を意味する。直訳すれば「作品の外」であり、本作品となる主菜の前または他に供される料理という意味である。食欲をそそることが目的であるため、量が少なく、塩分や酸味がやや強めのことが多い。」とある。日本では「パーティなどで出される、酒のつまみや軽食類を盛り合わせたものを指して、オードブルという。」とある。前菜とも言う。
 <食欲をそそることが目的>のせいか、色鮮やかに美味しそうに盛りつけられた軽やかなオードブルの盛りつけを見て、これだけで一食の食事にしてみたいと思われた事がないだろうか。後にくるコース料理が本格的なものであればあるほど、そのオードブルは見事なできばえであることが多い。年齢のせいかもしれないが、この頃は、オードブルで済ませる食事へのあこがれが強くなってきた。そんなことを考えていたせいか、私の作る朝食が、あのオードブルに近いことに気が付いた。ただし<塩分や酸味がやや強め>ではない、きわめて薄味。
 本格的な一日の活動を開始する前の、やる気をそそることが目的の、軽食類を多種類盛り合わせた野菜中心の食事、なんとオードブルの位置づけに近いことだろう。それ自体でメインとなり主菜となるような重いものをさけて、軽いが味の性格付けがくっきりとしたものを、少量ずつ数多く並べて、変化の面白さを味わう。これを一日の始まりのオードブルと言ったら少し気障だろうか。
 食べ物が<やる気>を喚起するのは本当だ。かつて若い頃、連日のロングツーリングに疲れて気力が萎えかかってきた夕方、野宿前に、多めの食材を購入して、早めの夕食を少し豪華にして自分にふるまうと、何故かしら元気が湧いてきて、翌朝、スッキリと目覚めたことだった。あの頃は、やはり動物性蛋白質が多いと元気が出たものだが、今は野菜。
 今は、とにかく野菜が美味しくて、野菜を沢山取っていると身体の調子がいい。年と共に、野菜への嗜好が増すという記述を、いくつか読んだことがあるが、本当だった。ひょっとすると我が家の朝食は、高齢者の嗜好を色濃く反映したものかもしれないとも思う。確かに、人生の夏が過ぎて秋が来ているような実感がある。しかし「作品の外」というのにはチト抵抗を感じる(苦笑)。
 
 前置きはこれくらいにして、朝の献立を紹介してゆこう。今回から6月の朝食献立です。


6月某日の朝食(上) ・味噌汁(油揚げ、大根、ナメコ)・ご飯・大根の葉のおひたし・トマト・ブロッコリーの温野菜・カリフラワーの温野菜・蒸しカボチャ・茹でキャベツ・蕗の旨煮・レンコンの旨煮・カブの甘酢漬け・浅漬けたくあん・水菜のおひたし・プレーンオムレツ・画像にはないがコーヒー入りホット牛乳


6月某日の朝食(下) ・味噌汁(油揚げ、大根、ナメコ)・ご飯・茹でキャベツ・トマト・ブロッコリーの温野菜・カリフラワーの温野菜・大根の葉のおひたし・茹でさやエンドウ・モロッコインゲン温野菜・蕗の旨煮・カブの甘酢漬け・蕗の葉の味噌和え・浅漬けたくわん・プレーンオムレツ・画像にはないがコーヒー入りホット牛乳