武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

うちの朝餉2

 朝のワンプレート(38)

《黒澤監督の食卓》 黒澤明監督亡くなる前日の夕食を再現した画像をみて吃驚した、翌日にこの世を去る人の食事とはとても思えなかった。栄養がどうのこうのと言う次元を超越している。映画監督のなかでもとりわけ伝説的奇行が多く、つとに健啖家で知られた黒…

 朝のワンプレート(37)

《献立の変化》 食事を作るようになって、一番強い影響を受けた本はどれか考えていたら10年以上前に読んで感心した女優沢村貞子さんの「わたしの献立日記」に思い当たった。発売当時は洒落た単行本だったが、今は文庫で簡単に手に入る。その献立日記の中で、…

 朝のワンプレート(36)

《真夏日続きの食事の支度》 真夏日が連続するようになると、台所での煮炊きの作業が辛くなる。調理をはじめる前から、台所の室温は30℃を超え、コンロに点火してしばらくすると、35℃を超えてくる。そんな夏だからこそ、養分のほうはしっかりと摂取、暑さに負…

 朝のワンプレート(35)

《アスリートの試合当日の朝食》 毎日の朝食がほどほどに美味しくて、身体の調子もまずまずな状態が維持できている。その訳をもう少し考えてみたくて、激しく身体を酷使するアスリートの朝食に思いをひろげてみた。 運動生理学の本やスポーツサイトに必ず書…

 朝のワンプレート(34)

《心地よい空腹》 我が家の朝食を続けていて、食後3時間を経過したあたりから、穏やかな空腹感が始まることに気が付いた。あるかなきかのぼんやりした空腹の時間帯が、昼食の時間に向かって徐々に深まってゆく。その空腹を感じている数時間が、このごろ心地…

 朝のワンプレート(33)

《素材の旨味を損なわない海水ウニ》 北海道へ旅行に行った知り合いから、保冷車による宅配便でウニのお土産が届いた。早速、ウニ丼にするために、ご飯を多めに炊いて賞味した。文句のつけようがないほどに美味しかった。保存容器から取り出したウニを、炊き…

 朝のワンプレート(32)

《日常の繰り返しに耐えられるか》 毎日の食事を自分の家事として引き受けてみると、レシピに対する考え方が少しずつ変わってくる。我が家の料理の定番として、受け入れるかどうか。それとも、臨時のホームパーティ用にファイルしておこうか。不味いレストラ…

 朝のワンプレート(31)

《コンニャクぶきぶき》 我が家では時々、「ピリ辛コンニャク」と称して、ゴマ油と豆板醤で調理して、あの独特の食感を愉しむことがある。そのコンニャクの食感をうまく言い表す言葉がないか探していたら、偶然に本山萩舟の「飲食事典」の「コンニャク」の項…

 朝のワンプレート(30)

《私作る人、僕食べる人》 相当に古い話を思い出した、1975年に放映されたハウス食品のCMに「私作る人、僕食べる人」というコピーがあった。インスタントラーメンのコマーシャルだったが、国際婦人年にかかわる女性達の会からのCM中止の申し入れを受けて、放…

 朝のワンプレート(29)

《オードブルもどき朝食》 Wikipediaによれば、オードブルとは「フルコースでスープの前に出される最初の料理を意味する。直訳すれば「作品の外」であり、本作品となる主菜の前または他に供される料理という意味である。食欲をそそることが目的であるため、…

 朝のワンプレート(28)

《脱旨味あるいは味の原理主義》 山形のある酒屋さんが「脱旨味」という主張をなさりながらお酒を売っていらっしゃるのを知って、共感するものを感じた。 酒屋さんなのでお酒の話、お酒の味は原料であるお米が発酵し熟成する過程で産まれるものであり、この…

 朝のワンプレート(27)

先日亡くなられた音楽評論の先駆者、吉田秀和氏の追悼番組(NHKEテレ吉田秀和さんをしのんで)を見ていて、晩年までの30年間同じものを食べ続けてこられたという朝食のシーンがあったので関心を惹きつけられた。 番組のナレーションによれば献立は、「三分半…

 朝のワンプレート(26)

《食物繊維について》 先日、坂田隆さんの『大腸・内幕物語』(ブルーバックス)という新書を読んでいて、食物繊維について凄く分かりやすい説明を見つけ、人に教えたくなったので内容を簡単に紹介したい。 著者によれば、「食物繊維はガンを防ぐ」「食物繊…

 朝のワンプレート(25)

《普段の食事の大切さ》 友達を招待しているわけでもなく、家族の誰かの記念日でもなく、特別に嬉しいことも悲しいこともない、何でもない普通の日々の食事。 家族の誰かが病気になっているわけでもなく、何事もなくみんなが普通に暮らしている日々が大事に…

 朝のワンプレート(24)

《飽きのこない食事》 『わたしの献立日記』の沢村貞子さんは、食事の組み立てで一番気を遣い苦労したのは、飽きないように献立に変化を持たせる工夫だったと書いている。従来からの和食のパターンである一汁三菜のような組み立てを基本にしていると、主菜1…

 朝のワンプレート(23)

《池波正太郎の食日記》 物語の中に食事シーンを巧みに配して、季節感や情感を表現するのが得意だった、池波正太郎の食の随筆集『食卓の情景』の終わりの方に、【食日記】、【続食日記】と題した作家の食生活記録がある。 起床時間が遅い生活だったらしく、…

 朝のワンプレート(22)

《配膳前の作り置き》 今は亡き理論家肌の料理研究家丸元淑生さんが『システム料理学』の中で、「丸腰で台所に立つな」との名言を吐いていたのを思い出した。腹が減ってから台所に行くようでは手遅れということ、事前の準備が大事という教訓である。これ以外…

 朝のワンプレート(21)

《朝食抜きはアリか》 充実した朝食をテーマにしているので、<朝食抜き>の言説はいつも気になっていた。朝食を食べないことによる長寿法や健康法などというものが、あること自体が不思議だったが、調べてみるとネット上にあるわあるわ、吃驚するほど話題に…

 朝のワンプレート(20)

《味覚の日常性》 ヨーロッパへ旅行に行くようになって、最初に感心したこと、どこのレストランでも、出されるパンの香りがすばらしく飽きのこないパンの美味しさとはこれだな、思わされたことだった。少し硬かったり、黒々としていたり、淡い酸味があったり…

 朝のワンプレート(19)

《和風出汁よ、さようなら》 どんな和風料理の本も、和風料理の基本中の基本として、出汁(だし)をいかにして取るかに触れていないものはない。鰹節、昆布、干し椎茸などを使って、出汁を引くことの大切さをとくとくと語っている。曰く、お吸い物には一番出…

 朝のワンプレート(18)

《世界各国のお宿の朝食》 今回は、外国のお宿の朝食と題して、よその国々の朝食を眺めて楽しもうと、ネットで探していたら、ちょうど格好のサイトが見つかったので紹介したい。50種類の朝食を画像で紹介している。 http://blog.hostelbookers.com/travel/be…

 朝のワンプレート(17)

《食通と偏食》 おかしなタイトルを思いついたのには訳がある。小島政二郎と言えば、「食いしん坊」という食のエッセイシリーズで知られた食通作家の1人、作家にしては珍しく長寿の人だった。その夫人だった小島視英子さん描くところの私人小島政二郎は「天…

 朝のワンプレート(16)

《外食を食べ残す》 いささか古い話ではあるが、1990年に発行されてベストセラーになった主婦之友社の『外食カロリーブック』が提起した食事のとり方は、興味深かった。男性版では肥満解消のためとサブタイトルを付け、女性版ではダイエットのためとサブタイ…

 朝のワンプレート(15)

ここ数年マスメディアで紹介されて評判になっている<50℃お湯洗い>という調理法をご存知だろうか。保存期間が長くなって鮮度を失った野菜や果物を50℃前後のお湯で洗ってやると、鮮度が蘇り雑菌が大幅に減って、美味しさが増すという耳寄りなお話。平山一政…

 朝のワンプレート(14)

レストランや旅館、ホテルなどの華やかな食事を、作っているサイドから考えてみたことがおありだろうか。 どんな献立やメニューにするか、季節感やお客の好みなどを考え、調理員の手間や仕入れ先や食材コスト、配膳から残渣の処理までを総合的に検討し、到達…

 朝のワンプレート(13)

今回はこのシリーズでは珍しいブックレビュー、書名は『まずはゆでる!』、著者は10年以上アメリカ生活をなさったことのある城川朝さん。内容は、野菜をたくさん食べる手立てとして、買ってきた野菜は切って軽くゆでるところまでを先にやってしまってから、…

 朝のワンプレート(12)

誰のために食事を作り続けるか?このことが意外にもとても大事だと言うことに気がついた。勿論、自分のために作るが基本だ。あるいは、自分の身近かにいる人を含めてもいい。自分と家族が食べる食事が家庭料理である、当たり前か(笑)。 もう一つ大事なのは…

 朝のワンプレート(11)

世界保健機構が定義する<健康>はなんとも厳めしい。以下に原文と共に和文を引用してみよう。 Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.健康とは、完全に、身体、精神、…

 朝のワンプレート(10)

中京圏(名古屋・岐阜周辺)を旅行していると、街の至る所に喫茶店が点在しており、入店してみると何時でもけっこう客が入っており、経営がチャンと成立しているらしいことに感心する。東京近郊では、今やほどんど喫茶店と呼べるような店舗が消えかけている…

 朝のワンプレート(9)

ネット上で<中食(なかしょく)>という語彙にゆきあたった。ウィキペディアによれば、「家庭外で調理された食品を購入して持ち帰り、家庭の食卓で食べる食事の形態のこと」だという。そして、「持ち帰り弁当、スーパーやコンビニエンスストアの弁当・惣菜…