武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

2009-01-01から1年間の記事一覧

 止まっていた腕時計

早朝の散歩に出かけた折 駐車場に帰る時刻を決めようと時計を見たら いつの間にか秒針が動きを止めていた。 ささやかな不意打ちだったが 気持ちがつんのめり狼狽してしまった。 恐らく、このようにして 自分の鼓動もいつかは動きを止めるのかな という類推が…

 公園の一本のプラタナス

早朝の散歩を楽しんでいる航空公園の東側に1本のプラタナスがある。その大きめの葉がこのところめっきり色づいてきた。周囲に広く芝生の空間を取ってあり、比較的大きな空間を占有している。 春の花を付け実を結ぶ頃から、冬の裸の枝を寒風にさらす季節まで…

 朝靄の彼方から日の出

今朝の武蔵野は、昨日に比べてやや冷え込みが和らいで穏やかな晴天、散歩に出かける途中で、朝靄の向こうから昇ってくる日の出を見た。輪郭がくっきりしているのに風景の細部がやさしくぼやけて、なかなかの情景だった。 車を止めてシャッターを押していたら…

 武蔵野に遂に初霜

一昨日の夜半、北風が強く吹いて、関東地方に今年初めての木枯らし1号の訪れがあったと思ったら、晴れ上がった昨晩の冷え込みで、遂に武蔵野の一部に初霜が降りた。昨年の経験で、寒さに弱い農作物は、この初霜を契機に一気に枯れてしまうことが分かっている…

 11月上旬の早朝散歩、武蔵野の秋たけなわ

11月上旬ころの武蔵野の日の出は、ちょうど午前6時頃、気温も次第に低くなり、晴れた夜の朝は、放射冷却のために大気が地表よりも低くなり、地面を這うようにして地上すれすれの朝靄が発生して幻想的な情景を見せてくれる。 定刻の5時に起床して、朝のコーヒ…

 『オキナワなんでも事典』 池澤夏樹編 (発行新潮文庫2003/7/1)

沖縄のことを知るための本としては、必携の一冊だという気がしていたのだが、全部読んでからと思っていたら随分時間が経ってしまったのに、まだ読み終えていない。前書きにあるように中身は、<事典>のスタイルを借りたエッセイ集、項目ごとに筆者の思いが…

 ネット上の仮想書店「ポシブル堂書店」のご紹介

本好きが何人か集まると、PCで本が読めるかどうか話題になることがある。まだ多くの本好きは書籍執着型だが、何年か前から、私はPC読書を少しずつ楽しむようになってきた。今回は、PC読書派には是非おすすめしたいサイトが見つかったので紹介したい。 …

 お気に入り音楽サイトのご紹介

最近、音楽関連のサイトをネットサーフィンしていて、偶然に素敵なサイトを見つけたので紹介したい。題して「作曲する言葉」、トップページに〜音楽をつくることに関心がある人へ〜とあるように、作曲に関心のある人向けに様々な情報を分かりやすくガイドす…

 『東京大学のアルバート・アイラー―東大ジャズ講義録・歴史編』 菊地成孔、大谷能生著 (発行文藝春秋 2009/3/10)

久しぶりに知的刺激に満ちあふれた楽しい本を読んだという感想を持った。単行本が出た時点でずいぶん話題になっていたので気になってはいたが、文庫版が出たので手に取った次第、これまでに何冊か読んだことのある<ジャズの歴史本>が、一気に色褪せた気が…

 二つの村上昭夫詩集『動物哀歌』 村上昭夫著 (発行思潮社1968/11/1)(発行思潮社現代詩文庫1999/12/31)

1冊目の村上昭夫詩集は「動物哀歌」だった。68年にH氏賞を受賞したことを受けた再版で、序文を書いた村野四郎氏の編集だったらしい。66年に300部発行された元の「動物哀歌」には、全部で193編の詩編が収録されていたのが、この時点で77編に精選された。私が…

 『地球一周98日間の船旅』 佐江衆一著 (発行祥伝社005/06/25)

海外旅行がお好きな方なら、一度はピースボートによる<地球一周の船旅>に興味を持たれたことがあるに違いない。時折、意外なところで見かけるピースボートのポスターで、どんなクルーズなのか、機会があったら調べてみたいと思っていたので、bookoffの105…

 最小数独(ナンプレ)あるいは17個問題

前回、数独(ナンプレ)について書いた時、もうこれ以上数独について書くのは止めようなどと殊勝なことを書いたのに、またまたその禁を破って、面白いウェブサイトを見つけたので紹介したい。 Wikipediaなどでは「初期配置の最小数字は17個が確認されている…

 武蔵野の秋の雑木林

湿度の低い爽やかな風に誘われて、近くに拡がる雑木林に散歩に出かけた。まだ紅葉の季節に時間があるので木の葉が光を遮り、林の中はひんやりとしてそれなりに薄暗い。真夏と比べると、一足早く枝を離れた落ち葉が多くなった気がする。 春のようにたくさんの…

 モーツアルトの全楽譜が無償で入手できるという耳寄りな話

ご存知の方には、何と古い情報かと笑われそうだが、2006年から<国際モーツァルト財団>のウェヴサイトで、モーツアルトの全てのスコアが無償提供されていると言うことを知って感激した。モーツアルトのファンなら、お気に入りの何曲かは、スコアを入手して…

 三芳町立歴史民俗資料館の印象記

以前から行こう行こうと思っても行く機会のなかった、隣町の歴史民族資料館に行ってきた。こぢんまりとして良くまとまった常設展示は、時代別に10テーマほどに整理されており、展示品もむやみに多くはないが良品揃い、見やすく分かりやすく、小学生にも興味…

 八ッ場ダムの成り行きに注目

衆議院選における民主党の歴史的勝利以来、八ッ場ダムの今後がどうなるかに大きな関心が集まっている。世紀をまたいで進められてきた巨大公共事業が、工事半ばで中止されるという、前代未聞の事態が、どのようなプロセスで推移するのか、民主党政権の今後を…

 武蔵野の各地で咲き出した彼岸花

早朝の散歩は航空公園を利用しているが、時間が空いた午後などに、気分をスッキリさせたい時には、住まいの近くへ散歩にでることにしている。我が家では<市中見回り>と称して、用もないのにぶらぶら出かける。1時間くらい、その辺を歩き回って帰ってくると…

 梅野記念絵画館の印象記

このところ多忙だった日々に、空白の一日ができたので、長野県東御市にある梅野記念絵画館に行ってきた。秋晴れの一日、楽しいドライブになった。 梅野記念絵画館は、<芸術むら公園>と名付けられた小高い丘の自然公園のため池の畔という、抜群のロケーショ…

『夕凪の街 桜の国』 こうの史代著 (発行双葉社2004/10/20)

わずか100ページ足らずの叙情的な青年コミック、広島原爆をテーマにした作品。入手して1年以上経ってしまった。なかなか感想がまとまらなくて、時々ページをめくったりしている内にいつの間にか時間が経ってしまったのである。 この物語は三部構成、第一部は…

 『深海のYrr』 フランク・シェッツィング著 北川和代訳 (ハヤカワ文庫2008/4/23)

一年半ほど前に新刊で目にしていたが、3巻の長さと派手な帯に気後れしてしまい、読みそびれていたのがbookoffの105円コーナーに3冊揃って並んでいたので、即座に購入した。一読、大満足だった。希に見る面白さ満載の近未来海洋SF小説だった。物語を構成す…

 金子光晴編集の「面白半分」

1970年代の雰囲気を良く伝える月刊雑誌に「面白半分」という可笑しな雑誌がかつてあった。ほぼ半年ごとに編集長を交代して、誌面の雰囲気を一新するという、斬新な編集方針を貫き、物好きな読者をけっこう楽しませてくてくれたが、70年代の終わり頃、惜しま…

 武蔵野にも秋の訪れ

早朝、仲間と一緒に借りている畑へ、野菜の様子を見に行ってきた。今年の夏は、8月も後半になって天候が回復、日照時間が多くなってきたので、南国の野菜は勢いを盛り返していた。この調子で行けば、ある程度の収穫が期待できそうで、ほっとした。 (画像は、…

 『わたしの沖縄食紀行』 平松洋子著 (発行集英社be文庫2005/10/25)

沖縄を旅していて、なかなか沖縄の食事に出会えないという、もどかしい思いをなさったことはないだろうか。同じようなことが、北海道を旅していても、イメージしていた北海道らしさに遭遇できないという失望感を抱くことが多くなった。観光客をターゲットに…

 奥日光の滞在型キャンプ

天気予報でやっと晴天がしばらく続く週間予報が出た。テントを持ち出して、奥日光へ4泊のキャンプに行ってきた。毎年行くキャンプ場なので、今回は湖の畔ではなく、湯川の横の木の下にテントを張ることにした。幸い好天に恵まれ、一度も雨に降られることなく…

 <MIDIクラシックギター>と言う名のサイト紹介

5年以上前から折に触れて訪問し、新曲がアップされるのを心待ちにしている素敵なサイトがあるので紹介したい。メインはクラシックギターの演奏、どの曲を聴いても広がりのある豊かな弦の響きと、落ち着きのある精確で繊細なリズムのコントロールに感心させら…

 『DZ(ディーズィー)』 小笠原慧著 (発行角川書店2000/05)

連続してミステリィの紹介で気が引けるが、蒸し暑いこの国の夏は、筋を追いかけて暑気払いでもしなければ、やってられないというのが本音。この本も、冷房を求めてbookoffの廉価コーナーで偶然に手にして、意外に面白かった一冊。帯に横溝正史賞受賞とあった…

『ミレニアム3―眠れる女と狂卓の騎士上下』 スティーグ・ラーソン著 ヘレンハルメ美穂、山田美明訳 (発行早川書房2009/7/10)

上手くできた長編ミステリィの最終巻、巧みな物語作りでたくさんの登場人物を縒り合わせ、勢いよく流れる大きな河のようにして進んできた娯楽巨編が、遂に幕を下す。どんな幕切れを見せてくれるのか、ワクワクしながら一気に読み進んだ。主人公リスベットを…

 『ミレニアム2―火と戯れる女上下』 スティーグ・ラーソン著 ヘレンハルメ美穂、山田美明訳 (発行早川書房2009/4/2)

ミステリィ作家森博嗣さんの「ミステリィ工作室」という随筆集を読んでいたら、<ミステリィにおける法則集>という題のアフォリズム集の中で面白いフレーズを見つけた。曰く、「●探偵が頭脳明晰なのではない、他のキャラクタが馬鹿なだけだ。」、凡庸なミス…

 『ミレニアム1―ドラゴン・タトゥーの女上下』 スティーグ・ラーソン著 ヘレンハルメ美穂、岩澤雅利訳  (発行早川書房2008/12/11)

評判のミレニアム三部作を読み終わって、著者が亡くなった事実をかみしめ、気持ちが少し沈んだ。全6冊の読書タイムは、時の歯車を忘れる至福の時間だった。 ミステリィとしての完成度は、この第1巻が一番優れている気がする。前半に提示された謎と危機が、物…

 若田光一さん帰還、お疲れ様

「137日15時間05分の宇宙滞在」を終えて、若田さんが無事に地球に帰還された。ブログやニュースを通して、リアルタイムで宇宙滞在の模様を知ることができ、地上での胸を躍らされる日々も終わった。若田さんの体験の、何百分の一かもしれないが、ささやかだが…