武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

2007-01-01から1年間の記事一覧

 奥日光の花々

戦場ヶ原のハイキングの画像を整理していたら、名前の分からない花の名前調べをしていて、奥日光の花々を年間を通して紹介している素晴らしいサイトにめぐり合ったので紹介したい。「奥日光の花しらべ(初心者・こども向け)」となっているが、なかなか情報…

 蝶の食卓???私の手

戦場ヶ原ハイキングの折に、奇妙なことがあった。なにを間違ったのか、周りをまとわり付くように飛んでいたチョウが、私の手の甲に止まり、口を伸ばして薄っすらと滲んだ汗を舐めはじめた。チョウの口が触れているところが、ちょっと冷たくて、かすかに舌の…

 戦場ヶ原散策、避暑を兼ねて

先週、武蔵野の余りの暑さに耐えかねて、奥日光に1週間ほどキャンプに行ってきた。気温は、100m標高が高くなると、0.5〜1.0度下がるらしい。奥日光の標高は1200〜1400mほどなので、10度ほど涼しくなることを期待していたが、予想通り、とても涼しく…

『栄養と料理・デジタルアーカイブス』提供女子栄養大学

この国の食事について考える時、女子栄養大学が長年発行してきた料理雑誌「栄養と料理」を外すわけにゆかない。婦人雑誌の料理記事も大事だが、料理本や料理雑誌の原型を築いてきたと言う意味で、「栄養と料理」が果たしてきた役割は、もっと知られていいと…

『宇宙消失』グレッグ・イーガン著/山岸真訳(創元SF文庫)

どんなに長生きしても百年以上は生きられまい。となると、2050年より先の話となると私にとって間違いなく死後の世界と言うことになる。無責任になれば、あずかり知らぬ時代ということになるが、経験不可能なだけに好奇心の対象としては、覗けるものなら…

 『プロ野球大事典』 玉木正之著(新潮文庫)1990年3月発行

昨夜、不足してきた日用品を補充しに生協の大型店舗へ買い物に行ったついでに、bookoffに立ち寄った。最近の新聞で、bookoffの経営不振について知ってはいたが、ポイントカードのサービス廃止を告げられ、シュンとなった。全国どこに行っても、大きな町には…

 『おんがくぐーん』音楽の学校4・音楽の劇場4(発行ほるぷ出版)

A面に入っているのは、音響効果を巧みに利用した物語、音を食べる怪獣が町中の音を食べて街の音がなくなってしまうが、消化の悪い音を食べたせいか、あるいは食べた音の組み合わせが良くなかったのか、それとも単なる食べ過ぎのためか、怪獣が腹痛を起こし…

 『聞き書・沖縄の食事 日本の食生活全集47』農山漁村文化協会

急速に失われつつあるこの国の庶民の伝統的な食文化を、都道府県別に聞き書きの形に編纂、全巻47巻にまとめたこのシリーズ、以前はどこの書店でも何冊か見かけたものだが、最近は全く見なくなった。図書館の奥にしまいこまれた形だが、食に幅広い関心を持…

 学力テスト不正発覚に思うこと

共同通信が7月7日に配信したニュースが震源となって、教育の世界に大きな地震を引き起こした。すんなりと全国学力テストが実施に移され、教育に競争原理を導入するなど、なりふりかまわぬ学力向上ブームは、ついに予想通りの不正問題を引き寄せてしまった…

 『ロボット・オペラ』 瀬名秀明編著(発行光文社)

若い知的好奇心旺盛な才能ある人の後についてゆく事ほど楽しいことはない。思いもかけなかった新しい世界が、見る見る広がり、見たこともない地平線の上に立たせてもらえる。この本も、読む人をそんな心境に導いてくれる、素晴らしい力作。 内容については、…

 『詩人の墓』 谷川俊太郎詩・太田大八絵 (発行集英社)

半年前に出たばかりの谷川俊太郎さんの最新詩集、と言うよりも、太田大八さんとの詩の絵本というべきか。ちょっとクレーに似た優しい感じのする水彩主体の抽象画に、四行の詩を配置、全体で詩人の生涯を物語ることになる長編詩。 いつものように分かり易い言…

 インターネットで図書館が便利になったこと

子どもの頃から、本屋や図書館で過ごす時間が好きだった。いろんなジャンルの書架を眺めながら歩き回ると、思いもかけない刺激があって、好奇心の対象が広がることがある。ふと気になって手を伸ばした本が、新たな世界を開いてくれたことが何度もある。書架…

 『おんがくぐーん』音楽の学校3・音楽の劇場3(発行ほるぷ出版)

A面に入っているのは、音楽の学校とは言うものの、浪速屋辰造さんの浪曲「ねずみとねずみ小僧」。 江戸の正月を舞台に、町中から一斉に消えてなくなった鏡餅の謎をめぐって、ねずみ小僧次郎吉が不思議なねずみの親子の物語に巻き込まれ、怪しい笛の音色に魅…

 『おんがくぐーん』音楽の学校2・音楽の劇場2(発行ほるぷ出版)

A面、表面の音楽の学校2には、別役実さんの「空のおとし穴」というシュールな感じがする幻想的な物語が収録されている。 四人の盲(めくら)が登場人物、中村伸郎さんのナレーションで物語が進行する。音を頼りにしている四人を使いでいる綱が切れてしまい…

 ミートホープの食肉偽装事件に思うこと

連日、信じがたいような「ミートホープ」の食肉偽装事件の報道が続いているが、今朝の朝日新聞の朝刊の社会面の記事に触発されて、以前から気がかりでならなかったことを思い出した。 今回の記事は、苫小牧保健所の立ち入り検査が、事前に通知されていたため…

 『おんがくぐーん おんがくのほん』音楽の学校1・音楽の劇場1(発行ほるぷ出版)

LPレコードの歴史を調べてみると、1951年3月に「日本コロムビアが日本初のLPを輸入発売、長時間レコードと呼ばれた。」とある。そして、1986年に「CDがLPの国内生産枚数を追越」した。 一般に普及したのは50年代の半ばから80年代の半ば…

 『動物の権利』 P・シンガー編 戸田清訳(発行技術と人間)

先日、ピーター・シンガーの「動物の権利」という啓蒙的な小冊子を読み、動物の倫理の世界的な運動に関心がわいたので、図書館で同じピーター・シンガーが編んだ「動物の権利」という1986年発行のこの本を見つけてきた。元々の題名は、「In DeFence Anim…

 『[図解]さかな料理指南』 本山賢司著 (新潮文庫)

本書の最大の特徴は、写真が全く使われていないこと。図解とは、イラストによる分かりやすい絵解きと言う意味、著者自身によるイラストと文章がうまく組み合わさり、これまで読んだどんな料理本よりも分かりやすい、というか、手順がイメージしやすい。 味の…

 『「数」の日本史』 伊達宗行著 (発行日本経済新聞社)

文化的活動の変遷を要素的に絞り込んだ個別文化史は楽しい。科学史、美術史、音楽史、文学史、演劇史、教育史、風俗史、建築史、交通史などなど、対象を絞り込むほどに変遷のあり様がより詳細に浮かび上がり、興味は尽きない。 新しい本ではないが、最近にな…

 《「学歴詐称」で大阪市職員965人を停職1カ月》の記事に思うこと

今朝の朝日新聞の社会面にでていた大阪市職員の学歴詐称問題を読み、心が痛んだ。受験資格の上で、詐称といわれても仕方のないのは事実だが、よほどの事情がない限り、人は下方に学歴を偽ったりしないもの。技能職の受験年齢が35歳までと幅があったのと、…

 『おいしいハンバーガーのこわい話』 エリック・シュローサー、チャースズ・ウィルソン著 (宇丹貴代実訳)発行草思社

エリック・シュローサーの本は、以前に『ファストフードが世界を食いつくす』というのを読み感心したので、書店で見つけてつい手が出てしまった。一読、今回の方が内容が整理されて読みやすくていっそう説得力を増したと思うので紹介しよう。 内容は、マクド…

 『動物の権利』デヴィッド・ドゥグラツィア著 戸田清訳(発行岩波書店)

表紙を折り返したところに「動物とはどんな存在なのかを知り、人間と動物との関係を見直そう」と太字で書いてある。この本の中身を一言で要約したのが、この言葉。200ページに満たない小冊子だが、動物虐待問題を考える入門書として、手ごろな良書に仕上…

 《うつくしい人生(フランス映画)印象記》

フランソワ・デュペイロン監督の「うつくしい人生」という映画を、ハイビジョンTVで見た。2時間近い上映時間だったが、起伏に富んだドラマもなく、目を瞠るアクションシーンもなく、ドキドキするラヴシーンもなし、それなのに2時間近く画面に引き付けられ…

《ベートーヴェン主要作品ボックス(60CD+CD-ROM)》発売元SONY BMG

高校生の頃から聞き出したベートーベンの音楽、かれこれ40年以上も、ベートーベンを聴かなかった年はおそらくないはず。強烈な音の主張も悪くはないが、清楚で透き通るような叙情性、これほど儚くて美しい音があっていいものか、と思うほどに美しい音を創…

 《世界名詩集大成から10年たって起きたこと》

敗戦から15年、平凡社が企画した画期的な全集、「世界名詩集大成」の内容を目次を引用しつつ、数回に分けて紹介した。この国の戦後復興のエネルギーの、最良の部分を垣間見るような、素晴らしい全集だった。今思い起こしても、ワクワクするような企画だっ…

 ネジバナの開花

駐車場わきの芝生を見たら、去年と同じ場所にネジバナが可愛らしい花をつけていた。去年の記録を見ると、6月18日。1日違いだ。こんなに正確に花を咲かせるなんて、不思議。ネジバナは地下に茎があって、季節が来るとそこから芽をだして、地上に出てくる…

 《世界名詩集大成(全18巻)の<16〜18>(日本篇1・2、東洋篇)》(発行平凡社)1960年

18巻の全集の中で、一番苦労したのは、この日本篇だったのではないか。世界の名詩集に入れるに値するこの国の詩集をどれにするか、何を基準にして、どれを取りどれを外すか、議論が分かれたことだろう。16巻めを見ると、今ではなかなか目にする機会のな…

《世界名詩集大成(全18巻)の<12〜15>(ロシア、ソヴィエト、北欧・東欧、南欧・南米)》 (発行平凡社)1960年

僅か半世紀にも満たない期間の北ヨーロッパの現代政治の激動が、この全集にも反映して、ロシア篇がロシアとソヴィエトの別の巻になっている。既に、ソヴィエトという国家形態が存在しない今となっては、複雑な感慨にかられてしまうが、この全集の発行当時、…

 《世界名詩集大成(全18巻)の<9〜11>英語篇(イギリス・アメリカ)》(発行平凡社)1960年

この世界名詩集大成の英語圏篇と言うべきイギリス篇2巻、アメリカ篇1巻は、現在、文物の翻訳紹介が圧倒的に多いこの文化圏からの文化の流入の偏りを、静かに冷静に見守るかのような、貴重な蓄積が詰まっている。 雨が降り続いて外に出られない日、追いたれ…

 《世界名詩集大成(全18巻)の<6〜8>ドイツ篇》

二度の世界大戦を最も過酷で悲劇的な形で体験したドイツの詩人たちへの関心は、やはり戦争体験が、言語の美に残した氷河の爪痕のごとき傷跡。時代の地殻変動を言葉の芯の部分で受け止めざるをえない表現形態が詩であるとするなら、ドイツの鋭敏な感受性は、…